過去拍手一覧
◇言葉不要の…(京七)


「アレ…何処だっけ…」
「右から二つ目の山の上にございます」
「ありがと」
 春水は言われた通りの書類の山から目的の書類を見付けた。



「…あ…」
「はい、どうぞ」
「ありがと」
 春水は七緒から七味唐辛子を受け取り、うどんに振り掛けた。



「……はぁ…」
「…どうぞ、隊長」
「ああ、ありがと。七緒ちゃん」
 七緒の差し出したお茶を手に取り、一息吐く。



「七緒ちゃ〜ん!アレ知らないっ!?アレが見当たらないっ」
「もうっ、普段履かないからですよ。下から三段目の引き出しです」
「ありがと〜」
 この日は着流しに色羽織りで、珍しく足袋を履く。
「お待たせ、行こうか」
「はい」
 どうやらデートに向かうらしい。



「…七緒ちゃん…」
「…はい」
 春水が少しばかり甘い声で呼び掛ければ、七緒は小さく頷く。
 二人は夜供にした。




「…言葉不要の熟年夫婦と言うべきか、老化現象の始まった上司を持つと大変ねて言うべきか…」
 そんな二人を乱菊が苦笑いで評する。
「前者で!」
「後者でお願いします」
「…七緒ちゃん…つれない」
 何時ものように甘えた言い方でなく、本気で落ち込む春水に、七緒は冷たく言い放つ。
「…好きだの愛だの平気で口にできるくせに、ものの言葉が出てこないのは老化現象以外何物でもありません」
「あはは、それは言えるわ」
「…………」
 春水は暫く立ち直れなかったそうな…。








私も老化現象…(遠い目)
友達との会話がこんな感じです。
「ほれ、アレさあ」
「ああ、アレだよね」



20060301〜20060313

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