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「あああああ!!」
声を抑える事なく求められて春水は遠慮はしなかった。
「七緒ちゃん……」
「あ…はあん…」
やがて、囁くように耳元で名前を呼び、春水は七緒の一番奥深くで果てた。
「……ねえ、七緒ちゃん」
「何ですか?」
互いに死覇装を着直しながら、春水はふと尋ねてみた。
「…今日は全然抵抗しなかったねぇ?」
普段、七緒は公私混同を嫌がるのだ。つまり、執務室で愛し合う事を嫌がる。
「……婚約者なんですから、別に…」
視線を外しながら七緒は呟くように返すが、耳は真っ赤に染まってしまったので、春水にはバレバレだ。
「…マリッジブルー?」
春水はそっと七緒を後ろから抱きしめて、真っ赤になった耳を優しく噛む。
「んん!」
「七緒ちゃん?」
舌がゆっくりと耳の形をなぞる。
「あ…は…」
今さっきの余韻もあって七緒は簡単に膝の力が抜けてしまう。
春水は素早く抱き留め抱き上げ、七緒は咄嗟に春水にしがみついた。
その弾みで七緒の表情が春水に見えた。
紅い頬、紅い唇、潤んだ切なげな瞳。微かに寄せられた眉。
「不安にさせて、ご免よ…七緒ちゃん…」
「…婚約者をほったらかしにするなんて、最低です…」
「う…ご免よ…」
七緒は不意に春水の頬を両手で挟み引き寄せると、唇を重ねた。
「もっと構って下さい…」
「……参ったねぇ…どうも…」
言葉はぼやきだが、表情と行動は違った。
春水は満面の笑みを浮かべ、再び七緒を長椅子へと横たえると、今着直したばかりの死覇装を嬉しそうに脱がしに掛かった。
もう一度、愛し合う為に。
おしまい。
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