「「「じいじ!あーそーぼ!」」」

 小さな子供の声が八番隊の前から聞こえる。
 すぐに、近くにいた隊員が上司を呼びに向かった。

「失礼いたします!!」
「今行きます」
 隊員が声を掛け用件を伝えるまでもなく、七緒が飛び出してきた。

「いらっしゃい。よく来たわね」
「おばーちゃま!」
「ばばちゃま!」
 子供達が瞳を輝かせて七緒を呼ぶ。
 そう、この子供達は七緒の娘、三夏と左陣の間に生まれた三つ子達なのだ。
 ぴこぴこと犬の耳を動かして、春水の声が聞こえないかと探っている。
「ごめんなさいね。おじいさんは、外に出ているの」
「ええ!!!」
 春水がいないと知った子供達は、たちまちしょんぼりと俯いてしまった。
「…でも、夏七ちゃんたちは?」
 南槻が瞳を潤ませて見上げる。
「…三人連れてね、お出かけしちゃってるの」
「「「ええーーー?」」」
 三つ子が悲しそうに声を上げた。
「…じいじ…おいらたちのこときらいなの?」
「あんまりあそんでくれないの…」
 西治と西造が悲しげに呟く。
「何を言ってるの。あなた達のことはとっても可愛くて大好きに決まってるわ。ただね、あなた達のお父さんとお母さんからあんまり取り上げないように、しているのよ」
 七緒は三人を抱き寄せて頭を撫でて諭していく。
 
 三つ子が思いきり遊べる相手は、春水と、一年しか年が違わない叔父叔母である三つ子だけなのだ。だから、遊べないとなるとがっかりしてしまう。
 せっかく遊びに来たのに、肝心の相手全員いないのだから。
 三つ子に普段の相手は両親や隊員になるのだが、やはり子供同士や子供視点で遊んでくれる春水と三つ子達には適わない。だから、今日久しぶりに遊びに来たのに遊べないので、心底がっかりしているのだ。

「解りました。これから、あなた達のお父さんとお母さんと相談して、八番隊にお泊まりできるように、手配しましょう」
「え?」
「おばあちゃま?」
「おばあちゃまに任せなさい」
 七緒の笑顔にようやく三つ子達に笑顔が溢れた。


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あきゅろす。
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