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初めての自分で、女性に慣れたこの人が、そこまで言うのならと思ったのだ。
頬を染めて小さく頷くと、春水は瞳を輝かせて七緒を見つめ返す。
「いいの?本当に?」
「はい…」
「ありがとう!七緒ちゃんっ!」
そして、春水は今度は更なる快楽の渦へと、七緒を叩き落としてくれた。
正直初めての七緒には刺激が強すぎた。
「あああ!ああー!!」
涙を零し、声を枯らさんばかりに張り上げるが、春水は遠慮をしない。
本気で七緒を喜ばせ、快楽を与え続けてくる。
「も、もう…らめ…」
呂律の回らない舌で、掠れた声で懇願するが、春水は止まれない。
「ご免よ…七緒ちゃん…良すぎて止まれない…」
息を弾ませながらも、腰を休ませようとしない。
「ああーー!」
七緒は薄れゆく意識の下で決意した。
決して、仕事に私情は持ち込むまい。春水に甘い顔はさせないと。
彼の恋人でいるのは、私事の時間だけにするのだと、
八番隊の日常が繰り返される。
「な・な・お・ちゃん」
春水の手が、七緒の手に触れようとする。
ぴしりと扇子で素早く叩かれる。
「ああ、つれないねぇ…どうも…」
「勤務中です」
「昔の七緒ちゃんは、これくらいで赤くなって可愛かったのに」
「毎日似たようなことを繰り返されれば、誰だって慣れます」
「ああ、冷たい…、でもそんなトコロがまた」
「隊長、無駄話してないでこれを片づけて下さい」
七緒が睨みつけ書類を差し出す。
「へいへ〜い」
春水が唇を尖らせながらも筆を持ち書類に向かう。
「ねえ、七緒ちゃん」
「はい」
「今夜空いてる?」
「……この仕事が順調に終われば、空かないこともないです」
眼鏡を持ち上げ、ほんの少しだけ頬を染めて返す。
「よしっ!終わらせよう!」
春水は俄然やる気を出して書類に向かう。
七緒はそっと笑みを作る。
だって、時折見せる厳しさと、さり気ない優しさ、私を甘えさせてくれる心の広さが、好きなのですから…。
おしまい
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