「七緒ちゃん…」
 春水がにじり寄り髪飾りを外す。
 七緒は黙って頬を染めて見返すばかりだ。
「今日はもう、邪魔は入らないかい?」
「…はい」
「良かった」
 朝まで離さないと言っているようなものだ。

 外から聞こえる音がいつの間にか雨音に変わっている。
 ひやりとした風が運ばれて程良い感じだ。
 雨音が外の音を隠し、蚊帳が外の景色を隠しているようで。寝台の小さく囲われたこの空間が二人だけの世界を作り上げている。


「七緒ちゃん」
 春水はゆっくりと七緒を押し倒し下した髪を真っ白な布団へと広げて見せると、満足そうに頷いた。
「ん、良く似合う」
「…まあ…」
「もっとも、すぐに髪なんて乱れちゃうけれどね」
「もうっ…んん…」
 口端を釣り上げにんまりと笑みを作る。
 七緒が枕を掴んで文句の一つでも返えそうかと考えているうちに、あっさりと唇を塞がれてしまった。
「ん…可愛いよ」
「あん…」
 春水はすぐには下着を脱がそうとはせず、露出している部分のみを丹念に愛撫していく。
 首筋に息を吹きかけ舐めて軽く唇で吸う。鎖骨も同じように愛撫すると直ぐ下のまろやかな膨らみに視線をずらす。
「んん…」
 本来その下着の役割はまろやかな膨らみを包み込む筈だが、春水の選んだ下着は当然のことながら違う。下着を押し上げている頂きを隠しているだけだ。
 そしてもう一枚もやはり僅かばかり秘められた場所を慎み深く隠しているだけで、お尻には布がない。
 もじもじと太腿を擦り合わせ隠すような、それでいて待ち焦がれているような様子だ。

 やわらかな膨らみには軽く口付けを繰り返し、七緒の足を広げ腿の内側を撫でる。
「ん…ふ…」
 敏感な部分のすぐ側に触れられている状況はじれったくて叶わない。漏れる吐息を指で塞ぎたくなってしまう。

「たいちょ…」
「ん〜?何かな?七緒ちゃん」
 切羽詰まった七緒の口調だが、春水はのんびりとした口調で返し顔を上げようとはしない。滑らかな肌を撫でまわし口付けをし、堪能していると言った様子だ。
「んん…春水さん…」
 直ぐに言い間違いに気がついた七緒は名を呼び掛ける。
「どうかした?」
 顔を上げ軽く唇を重ねて問いかける。
「あの…もう…」
「我慢できないの?」
 頬を染め訴える七緒の顔を見、視線をゆっくりと舐めるようにずらし小さな布を押し上げている頂きを、指先で突く。
「んん…」
「もう、七緒ちゃんたら可愛いんだから」
 春水はにっこりと笑みを見せると片方は布を避けて指先で刺激を送りながらも、もう片方はそのままに口に含んだ。
「あむ…ちゅうっ」
「ああんっ」
 いつもとは違う刺激と待ち焦がれた刺激に思わず声が上がる。
「ふあ、あ、あんっ、あ、やぁ」
 敏感な頂きを吸い上げる春水の髪を掴み首を振る。指先の方は見向きもしていない。
「ちゅ、何?」
「それ、いや…」
「…布越しは嫌かい?」
「ん」
 頷く七緒を見て春水はあっさりと布をずらして舌で舐め吸い上げた。
「ああっ、あん、あふ」
 直接感じる春水の舌や指に七緒はあっけなく快楽へ落ちていく。

 普段恥じらいも見せる七緒だが、この時ばかりは違う。すっかり春水によって作り変えられたかのように大胆にもなってしまう。


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