「これは…」
 七緒も現世の習慣を思い出し美しく飾られた木を見つめる。

 そして開け放たれた窓からは、ひらりと雪が入ってきた。
「え?雪?」
「ホワイトクリスマスだね」
 静かに屋根の上に雪が降り積もっていく。
 月明かりに雪が照らされていて、何とも幻想的な雰囲気だ。
「え?何で、月が見えているのに雪が…」
 ふと自分で感じた情景に可笑しさを見つけ、窓に駆け寄り外を見渡す。
「日番谷隊長がね、七緒ちゃんにって」
「え?日番谷隊長が?何故?」
 七緒の疑問に春水は微笑を浮かべた。

「七緒ちゃんを泣かせちゃったお詫びだって」
「え?」
 冬獅郎に泣かされた記憶などないだけに七緒は首を傾げるばかりだ。
「ほら、例の王印で。ボクが倒れちゃったでしょう?それで、ボクにね謝りにきたんだよ。別に日番谷くんのせいじゃないし、気にしてないって言ったんだけど。どうやら、七緒ちゃんが泣いちゃったことを誰かから聞いたらしくって」
「ああ…」
 七緒はあの一件での己の弱さを恥ずかしく思い出し頬を染めて俯いた。
「…では、この雪は…」
「そ、氷輪丸」
「…きれいですね」
「そうだね」
 使い方次第でこんなにも美しい景色を見せてくれる戦う為の武器。
 七緒は静かに雪が降り積もる様を見詰めた。


「くしゅんっ!」
「ああ、これ以上は可愛い七緒ちゃんが風邪をひいちゃうね。おーい、日番谷くんありがとう、もう良いよ」
 七緒を温めるように抱き寄せ、表に声をかけると雪が止んだ。
 それと同時に冬獅郎の霊圧が消える。

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