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「わあ!伊勢さん姫抱きしたまま瞬歩なんてすごい!」
「伊勢が目を回さなきゃ良いんだが…」
十四郎が苦笑いをする。
「清音、悪いが薬湯をもう一杯頼む」
「はいっ!」
清音は深く追求などしない。春水のことだから、うまく行っても、駄目だとしても必ず十四郎に報告来るだろうから、嫌でも知るところになるからだ。
七緒を抱えたまま、一気に八番隊迄戻ってくると、執務室に入り鍵を掛けた。
「七緒ちゃん、ご免よ」
春水は七緒を降ろし長椅子へと座らせると、自分は笠を外して七緒の前に膝をつき、手を取って真っ先に謝った。
「言いたい事は一杯あると思うけど、先ずはボクの話を聞いてくれる?」
立て続けに色々起こって、七緒も落ち着いて考えをまとめたいと思っていたので、素直に頷く。
「…七緒ちゃん、ボクは君が好きだ。男として、女として」
「…は?」
「君を避けていたのは、嫌いだからとか、リサちゃんに劣るとか、副隊長という立場としてではなくて、その…七緒ちゃんを見てると、押し倒して力ずくでものにしたくなってしまうからで…」
七緒の手を両手で包み込んだまま、苦笑いを浮かべ語る春水に、七緒は開いた口が塞がらなかった。
「あの…」
「何だい?」
「…私は今、隊長に…その、告白されて、…いるのでしょうか?」
今自分に降りかかっている出来事が信じられず、つっかえながら確認をする。
「うん」
春水にまっすぐに見つめられ、力強く頷かれて、七緒は頬を染めて俯く。
状況を把握しはじめたのか、頬だけでなく、耳や首までも真っ赤になっていく。
「七緒ちゃん?」
「は、はいっ!」
呼びかけると、びくりと肩が跳ね声が裏返っている。
「お付き合いしてくれる?」
「え?あ、あの…」
優しく問い掛け、春水は静かに答えを待った。
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