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暫くして七緒の目蓋が痙攣し、ゆっくりと開かれた。
「…七緒ちゃん…」
「……私…」
「ご飯冷えちゃったけど、食べられそう?」
心配そうに覗き込む春水を見上げ、瞬きを繰り返す。
「…はい…もう…」
七緒が体を起こすと、けだるさはかなり抜けていた。
春水に抱き起こされて、世話を焼かれて、七緒は苦笑いになる。
「すみません。春水さんの誕生日ですのに…」
「何言ってんの。仕事抜きに七緒ちゃん独り占めできてるんだから、ボクは嬉しいんだよ。それに、七緒ちゃんは昔から手の全然かからない子だったから、お世話できて嬉しいよ」
本当に嬉しそうに言ってくれるので、七緒は益々苦笑いになる。
そして、ふと気付いた。
「あ…その浴衣」
「似合う?」
浴衣は一番体の線が出る。胸元は相変わらずだらし無く開けているが、襦袢無しなので白い生地もあって、肌が透けて見える。何より素晴らしいのは、くるりと回って見せられた背中の広さと、引き締まった臀部に、長い足だ。
特に、臀部は素晴らしく立派に見え、七緒は驚いた。
「…す、素敵です…」
「七緒ちゃんが選んだんだもんね」
真っ赤になって口ごもってしまう七緒を、春水は楽しそうに見つめる。
「とりあえず、ご飯を食べて。後これ、四番隊から貰った滋養強壮剤。怠いのが抜けるよ」
「ありがとうございます」
十二番隊ではなく、四番隊の薬ならば安心だと、七緒は素直に受け取った。
冷めた食事を取り薬を飲むと、汗ばんだ体を洗い流しに風呂に入った。
風呂を上がると、春水は良く冷えた麦茶と、水羊羹を用意していた。
「はい、七緒ちゃん」
「あ、ありがとうございます…」
至れり尽くせりの状況に、恐縮してしまう。
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