7
それでも楽しく昼食を終えると、七緒が切り出した。
「春水さん」
「何?七緒ちゃん」
「…無理はなさらないで下さいね…」
「別に無理はしてないけど?」
七緒はそれでも真剣な眼差しを向ける。
「…どうして、無理だと思うの?」
「……短冊をご覧になったのでしょう?」
「……うん」
「私も…つい、先日見つけてしまって…その辺りに置いておいたのは迂闊でした」
溜息を吐き出した七緒を、春水は唇で唇を塞ぐ。
「ん!…ん…春水さん…私は…んん…」
「ん…ん…」
舌を入れ七緒を喋らせないよう、貪るように口付けを繰り返す。
「…後悔はしてないんだよ…ボクは…」
「ですが…」
「ボクが選んだ。あの子も行きたがった。誰が止められる?」
「……そう…ですね…」
「後悔したら怒られる」
「はい…」
「七緒ちゃんを選んだ事も、後悔してないし。こうして触れることだって…」
軽く唇で唇を啄み、見つめ合う。
「…ん…」
「ずっと触れていたいくらいだよ…」
「んあ…」
「…七緒ちゃん…」
いつの間にか七緒は、春水に流され再び寝台に押し倒されていた。
再び目を覚ましたときは、日が落ちて暗闇に包まれていた。
ふわりと一筋の光りが動いた。
「え?何?」
起き上がると目の前をふわりふわりと、柔らかな光りが行き交う。
「…蛍?」
「そう、蛍」
春水も起き上がり、七緒を後ろから抱き寄せる。
「自然の光りもいいね」
「…はい…」
今度は窓が開け放たれている。
たくさんいる蛍が、一匹ずつ逃げていくが、留まっているものもいる。
「…自然のままに。求めるままに。七緒ちゃんはもっと素直になっていいからね」
「…では、遠慮なく。素直に隊長をビシバシと」
「違うよ!もっとボクに甘えてって」
「…はい…」
慌てて訂正する春水に、七緒は笑い頷く。
「…ずっと、ボクの側で光ってて…ボクが間違えないように」
「はい…」
その夜も七緒の甘い声は途切れなかったのでした。
##IMGR6##完
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