◇BLEACH if…
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 巨大な霊圧が近づいて来たと思ったら、予告もなく襖が開け放たれた。
 隊長の執務室に挨拶もなしに入る者は、ここ十一番隊では二人だけだ。一人は当然部屋の主人。もう一人は…。
「ただいま〜」
 十一番隊の副隊長である。
「おう、どうだった」
 隊長は副隊長の無礼を咎めない。二人にとって当たり前の事で、どうでもいい事だからだ。
「ぜ〜んぜん。つまんなかった」
「そうか」
「後で報告書出すねぇ」
「ああ」
 会話も万事この調子。隊長の剣八は、面倒臭そうに書類を繰りながら、返事をし、副隊長のやちるは遊び感覚で明るく話をする。
 やちるは剣八の前を横切り、自分の席に着こうとして、腕を引かれた。
「何、剣ちゃん?」
「……血の匂いだな」
 やちるを抱き寄せ、匂いを嗅ぐ。
「匂う?返り血浴びなかったけど」
 袖を鼻に寄せ自分でも鼻を鳴らして匂いを嗅ぐ。
「一撃か?」
「うん。だって早く帰って、剣ちゃんに会いたかったから」
 ふんわりと笑って剣八に抱きつく。
 早く虚を始末すれば、早く帰ってこれる。そのためやちるは、隊内で一番探査能力に優れた者を連れ、後ろからあっさりと片を付けたのだ。着替えすら惜しんだので、返り血を浴びないように気を付けて。
「辺りに散りゃ、移りもする」
「ああ、そっか…って剣ちゃん?」
 剣八の手が、袴から中に滑りこんできた。
「物足りねぇだろ?満足させてやる」
「ちょっ、そんな事いってないよう」
 勝手な事を言いだしやちるの制止など聞かないことにして、剣八の手は奥へと進む。
「やんっ!」

 室内に響く睦み合う音と、やちるの艶っぽい声…。
 十一番隊は、副隊長以外に女がいない。
 二人の霊圧というものは、巨大すぎる。

 数日後、総隊長の山本の元に、十一番隊の席官連名の嘆願書が届けられた。

「お願いします。隊長と副隊長は一緒に出して下さいっ!男ばかりの十一番隊には酷ですっ」

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