◇BLEACH if…
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剣八は少しばかり勝ち誇った笑みをみせたが、直ぐに表情は消え一秋を無言で見下ろし、一秋も黙って剣八を見上げる。
「俺の女に告白するたぁ、いい度胸だな。坊主」
「……そんな事言って、結婚しないんだろ。俺にもチャンスがあるって、思ったんだ」
「…ふん。結婚ばかりが男と女じゃねぇ」
「みたいだね。俺は両親を見てるから、それが当り前だって思ってた」
一秋は大きく溜息を吐いて、それでももう一度剣八を真っ直ぐ見上げた。
「やちる姉を泣かせたら、何時でも俺、奪いに行くからな」
「はっ!」
一秋の言い草を剣八は鼻で笑い飛ばし、一秋に背を向け歩き出した。やちるも剣八の後へと着いていく。昔から、生まれた時から見つづけた光景が、一秋の視界から消えない。消えない所か、二人の姿が滲み始めた。
「くそ!振られた!!!」
幼いながらも、一秋はしっかりと現実を見据え――この辺り、両親の教育の賜物と言えよう――、学院を卒業するまでは誰とも付き合うことはなかったが、それはまた別の物語となる。
「嬉しそうだな」
「ん?いやぁ、あたしに最初で最後のプロポーズだって思ってさ。いやいや、秋君とは意外だったなぁ」
やちるは頬が緩みっぱなしである。
生まれる前から一秋を知っているから、彼の成長が嬉しくもあり、そして告白されたという事実がやちるの頬を、気持ちを緩ませた。
この頃、剣八とやちるの関係は徐々に落ち着きを見せていた。
毎夜繰り広げられていた情交は、一日置きになり、回数も減り、ゆっくりと味わうようなものに変化していたのだ。
「何で、最初で最後だ?」
「ん?剣ちゃん、結婚考えてないでしょ?まぁ、あたしもなんだけどさ。それに、十一番隊の更木隊長を押しのけて、あたしに告白しようっていう、剛毅な男はそうそういないよ?」
「それもそうか」
やちるの答えに、剣八は納得し頷いた。
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