◇BLEACH if…
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「だってさぁ、説得に随分掛かったんだよ。これくらいいいじゃないか」
 七緒を親族に合わせるまでに、本当に長い時間が掛かったのだ。
「…思っていたよりも、八番隊の副隊長という位置は、重要でしたのね…」

「そりゃあね。隊長も副隊長も割と入れ替わり激しいからねぇ。そこで、ボクと一緒に長く続いてるってのはね」
「……それに、京楽隊長の副隊長の名くらいは、親族として承知の上。だからですか?」
「そうだね。それは当然だろうね」
 春水は茶を一口飲み、七緒を見る。
「……すみません。やはり、貴族の考え方はいくら学んでも、解りません」
 七緒は苦笑いを浮かべて、首を傾げる。
「ははは、そうだろうね。ボクも実のところ良く解らないよ」
 それもそうだろう。実家が嫌いで殆ど立ち寄らず、遊び歩いていたのだ。
「…大変ですねぇ…」
 思わず他人事のように、感想がもれてしまう。
「…フフ、それだから、七緒ちゃんが好きだよ」
 春水は茶を卓へと置き、七緒の膝の上に頭を乗せて寝転がる。
「隊長…」
「ここと腹括ったら、七緒ちゃんはしっかりしてるからねぇ。頼りになるよ」
 膝の上から、七緒を見上げて微笑む。
「……奥では大切な話をされているのでは、ないのですか?」
「ん?んー…諦め悪く、考えてるのかねぇ…。いい加減、認めて欲しいんだけど」
「では、もう少し真摯な姿勢でお待ちになっては如何ですか?」
「やだよ、肩凝るし。こんな格好しているだけでも、評価して欲しいくらいだ」
 春水は紋付袴姿で、気崩すこともなく。何時もつけている簪も外し、髪を撫で付け身なりを整えていた。七緒も、色留袖で落ち着いた格好をしていた。
 七緒はそっと、撫で付けられた髪を撫で、微笑を浮かべる。
「素敵ですよ…。隊長羽織の時も、こんな格好ですと、嬉しいのですが」
「やだよ。肩苦しいもん」
「あら、惚れ直すかもしれませんのに」
「……んー?見惚れて仕事にならないでしょ?」
「…あら…随分と自惚れていらっしゃいますのね」
「そうかい?」
 春水は身体を起して、七緒を真面目な表情で見詰める。
「七緒ちゃん…」
「………ずるい…」

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