◇BLEACH if…
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 ひそひそと声を交し合い、七緒を伺っている。
「伊勢副隊長…」
「……はい」
 肩書きは関係ないと言い切った春水を無視して、男は七緒を肩書き付きで呼んだ。当然の事ながら、春水は眉間に皺を寄せ、嫌そうな表情を見せる。七緒は、呼ばれた手前返事をしなくてはならないと思い、返事をした。
「……いや、申し訳ない。よもや、春水が結婚したい相手が、あなたであったとは…」
 八番隊の副隊長という位置は、京楽家の親族であっても、思いのほか大きな地位であるらしい。考えてみれば、京楽家の人間で、隊長や副隊長の地位についているものは、春水一人なのだ。四十六室やその他の地位についているものもいるが、それでも、死神としての七緒の力は評価に値するものなのであろう。
 何せ春水が隊長の座について、一番長く春水に付き従っているのも、七緒なのだ。
「……いえ…謝って頂く事は御座いません。私は、春水様の説得の仕方に同意しておりましたから」
 七緒は静かに首を振り、春水の意思と同じであることを答えた。
 春水は黙って微笑を浮かべている。
「早く、結婚したいとは?」
「それは…思っております。ですが、春水様と同じく、私は私を見ていただきたいと思っておりました。流魂街出身であることには違いがありません。貴族の血筋が大切な事も承知しております。血筋を守らねばならないことも。其処に、地位が関係ないことも」
「それならば、何故」
「……春水様を愛してしまいましたから。結婚したいと望みました。ただ、それだけです」
 理屈はわかっても、気持ちは別物なのだ。貴族の意に添わぬといっても、想いは止め様がない。ただ、側にいたいと、そう想い。それは、春水も同じであった。互いの想いが一つだったからこそ、結婚を望んだ。




「くくく、じじい供の顔をきたら!」
 春水は愉快で堪らない。
 今、二人は別室に待機させられていた。
 春水はお茶を手にして、肩を震わせて笑っている。
「…隊長…、悪ふざけもほどほどになさって下さい。冷や冷やしました」
 七緒は大きな溜息を吐き、呆れた表情で春水を見やった。

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あきゅろす。
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