◇BLEACH if…
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「何でもねぇ」
 剣八はただ同じ言葉を繰り返す。
「ウソだもんー!ねぇったらー」
「……」
 どれだけやちるにしつこく尋ねられても、とうとう剣八は折れることがなかった。


(言えるかっ!やちるが桜の精みたいに思えて、消えそうに見えただっただなんて!!)
 自分が精霊などという発想を持ったことにも驚いたし、やちるが消えそうに見えて思わず留めておきたいがために、抱きたい衝動に駆られたなどと、決して口外できるわけがない。
(畜生、誰の影響だ!こんな発想!この俺が!!)
 殺し合いが好きで、修羅だ羅刹だと言われる己が、精霊などとは。
「ねぇ、剣ちゃんたらー」
 やちるの甘えた声に、ふと思い至った。やちるが時折、恋人同士はこんなものだと、女性死神達から要らぬ知恵をつけられる事がある。原因は恐らくそこであろう。

「花見は隊員を連れて行くぞ」
「えー!剣ちゃんとラブラブしたーい!!」
「桜だけは、宴会だ!」
「ええー!」
「ぜってー、二人では行かん!!」
「いやだー!!二人でも見たいーー!」
 剣八は二度と下らぬ発想をしないためにも、十一番隊で宴会目的の花見だけだと言い張り、やちるは二人でデートがしたいと言い張る。いつの間にやら、理由の問い詰めから、桜を二人で見に行くか行かないかの、言い合いになってしまっている。
「あたしは、剣ちゃんと二人で見たいー!」
「桜だけはぜってーに、嫌だ」
「ケチ―!!」


 剣八の意思は強固で、二度とやちると二人で桜を見に行く事はなかったのでした。



おしまい。

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あきゅろす。
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