◇BLEACH if…
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 七緒がこの地を離れた時から、少女のまま変わらない姿でいた。変わらぬままでいてくれる人が、迎えてくれる人が肉親でもなくとも、いてくれた事に七緒は感謝の気持ちで一杯だった。
 父が亡くなった知らせを受けてからも、随分年月は経っている。ひょっとしたら、少女も既に転生しているのかもしれないと、思っていたのである。
「七緒お姉ちゃん…」
「…本当に、ありがとう」
 少女の手を取り、もう一度礼を述べる。

「…いいのかい?」
「はい…何時までも、隊長格がいては、先刻のような事態を招きかねませんから…」
 十四郎は静かに黙って立ち上がり、一足先に玄関へと向う。
 春水も立ち上がり、花嫁へ手を差し伸べ立ち上がらせる。
「…おばさん…明菜ちゃん、本当にありがとうございました」
 七緒は深く頭を下げる。
「元気でね」
「はい」
「…もう、行っちゃうの…?」
「ええ…もう、戻らなくては」
「……幸せになってね」
「ありがとう」
 春水と七緒は、二人に頭を下げ、家を出る。
 七緒は籠に乗り込み、静かに、去って行った。




 それから、数ヵ月後、少女の亡くなった知らせが届き…。

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あきゅろす。
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