◇BLEACH if…
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 珍しく二人はあっさりと眠り、朝を迎える。



「ん…」
「おす」
 やちるが目を覚ますと、剣八も既に目を覚ましていた。
「おはよ、剣ちゃん」
「ああ」
「ふああ…剣ちゃん早いね…」
「ああ、お前が身じろぎするから、目が覚めるんだ」
「ふうん?」
「お前が起きる前に、少し動くんだ。それが伝わって自然に俺も目が覚める」
「ああ、それであたしが目が覚める前に何時も目が覚めてるんだ」
 剣八もやちるも、野宿暮らしが長かった。何時殺されるか解らぬ中で寝起きをしていたから、少しの振動でも起きてしまうのだ。
「ううーん。はあ、さってとどの着物にしようかなっ」
「脱がせやすいのにしろよ」
 剣八も起き上がり、着物を手にする。
「うわー。やる気満々」
「お前が、そうしろっつったんだろうが」
「そりゃそうだけど、んじゃ、小袖にしよっと」
 梅と兎柄の可愛らしい明るい着物に着替え、剣八も渋い抹茶色の着流し姿になる。



 朝食を食堂で済ませて、外へ出て行く。
 腕を組み、いちゃいちゃとしながら歩く十一番隊隊長と副隊長の姿に、皆が目を丸くして見送る。
 昨年、剣八とやちるが付き合い始めてからも、多少なりといちゃつく姿は目にするのだが、朝から私服姿でいちゃつくのは、まだまだ珍しい光景だった。
 彼方此方の店先を冷やかしながら、楽しそうにデートする姿を朝からみつけてしまった人物が居た。
「やあ、ご両人。今日は朝からデートかい?」
 春水が軽く手をあげ、二人へ挨拶をする。
「うん!そうなの!!」
 やちるは嬉しそうに大きく頷く。
「…おめぇは、朝からサボりかよ」
「あはははは」
 春水は笑って誤魔化す。

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あきゅろす。
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