◇BLEACH if…
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「けんたーん」
「………」
「剣ちゃん、返事しないの?」
立ち止まったまま振り向かず、返事もしない剣八にやちるは首を傾げ見上げた。
「けんたぁん」
バタバタと足音が聞こえ、続いてずべっと転ぶ音。布を叩く音が聞こえたと思ったら、パタパタと足音が再び聞こえてきた。
そして、袴にかすかな感触が。
「けんたん」
「……おう」
追いつき捕まえられてようやく剣八は返事した。そうして襟首を掴んで、自分の視線に合わせる。
「おめえの親は何処いったんだ」
「あっち」
子供の小さな指が剣八の後ろを指差す。
「あ、いた。おおーい、七っちこっちーだよー」
きょろきょろと辺りを見渡しながら子供を捜す七緒の姿が目に入り、やちるは手を振り声を上げて注意を引く。
「ああ、やちるちゃん」
七緒の口元に笑みが浮かぶ。大きなお腹で近寄ってくる。背中には次男の冬ニがいて、騒ぎを余所にすやすやと眠っている。
「ああ、走っちゃダメだよ!」
「あら、大丈夫よこの位」
「かかたまー」
「あら、そんなところにいたのね一秋さん」
剣八に掴まれたままブラブラと揺れるのが楽しいらしい、きゃっきゃっ笑い声を上げる。
「京楽はどうした」
自分の肩へと一秋を置きながら尋ねる。
「…三夏さんを連れたまま、サボリですわ。全く」
「わー、子連れでサボりなんだ、面白そう!」
「面白くないわ」
やちるの言葉に七緒は眉を顰める。
「夏ちゃんって、まだお乳飲んでるんじゃなかったっけ?」
「それでも、ほら、一秋さんは動き回るようになったでしょう?今もこうして動き回ってたし。連れ歩きやすいのよ」
「ちょっと前まで良く寝てたのにねぇ」
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