◇BLEACH if…
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「剣ちゃん、誕生日おめでとー!」
「…やちる、それは誰の入れ知恵だ?」
 朝一番、身仕度をしている剣八の部屋へ、飛び込んできたやちるの格好を見るなり、剣八は額に青筋を浮かべた。
「男の浪漫じゃないの?」
「誰の入れ知恵だ」
「京ちん」
 ふわりと広がる裾を摘む。白いフリルのついたエプロンを身につけていた。しかも、下には何も着ていないように見える。
「……京楽は京楽でも、女房の方に相談しろっ!亭主の方に相談するなっ!」
「だめぇ?剣ちゃんの恋人になって初めてだから、男の人の喜ぶものって思って、男の人に聞いたんだけど」
 首を傾げ上目使いで剣八を見る。
「喜ぶかっ!!」
「うそー!京ちんの嘘つきぃ。裸エプロンは男の浪漫だって言ったのにー!」
 やちるは頬を膨らませて、腕を組む。
「…剣ちゃん、本当に嬉しくない?」
「嬉しくねぇっ」
「…じゃ着替えてくる…」
 肩を落として、部屋を出ていこうとするやちるの後ろ姿を見て、剣八は慌てて引き止める。
「待てっ!!」
「何?」
「お前っ!その格好で来たのかっ!」
「そだよ?隣の部屋だし」
「ばっかやろうっ!そんな格好で外に出るんじゃねぇっ!」
 盛大に怒鳴り付けると、障子を勢いよく閉めてやちるを抱き寄せて隠す。

「隊長っ!何がありましたかっ!?」
 剣八の怒声に、警護隊員が駆け付けて来る。
「何でもねぇっ!入ってきたらぶっ殺すぞっ!」
「は、はいっ!失礼しましたっ!」
 隊員が遠退き、足音が聞こえなくなると、剣八は息を吐いた。
「…剣ちゃん…」
「…ったく。いつものでいい。いつもので」
「はーい」
 やちるに自分の羽織を掛けると、自ら部屋へ連れていく。
 遠巻きに隊員に見られているのが解り、殺気の籠もった目で睨み付けると、ようやくいなくなった。

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