◇BLEACH if…

「ね、剣ちゃん、あれ、あれいいなぁ」
「ああ?そーか?面倒臭ぇ…」
 春水が息子達を羨ましそうに見、七緒に冷ややかな視線で返され、やちるも娘達を羨ましそうに見て、剣八はあらぬ方向に視線を向けて心底うんざりした声で返した。
 両親たちの側にいた一秋の弟妹が視線を交わして肩を竦ませる。

 そして、こんな式は女性陣が予想した通りに、あちこちで羨む声が上がった。式は簡素でいて着物が大変目新しく美しいから尚更だ。


 この後は食事会になり、一同は大いに盛り上がったのだった。


 二人の部屋は、元々八千代の部屋があった場所になった。
 後々、八千代が十一番隊へ配属されることになる場合、十一番隊でたった二人の女性死神になるからだ。他の男性死神から隔離する必要があった為、元々剣八とやちるの隣部屋をそのまま使用予定だったのだ。一秋と結婚したことで二人の部屋となった。

 一秋の荷物が運ばれて少しばかりせまく感じる。
「んー、ちょっと狭くなっちゃったかなぁ?」
「まあ、そのうち整理しようか」
「うん」
「あ、大丈夫だよ。二人が新婚旅行とか行ってる間に、そっちの部屋おっきくしてあげるから」
「やったー!母ちゃん話がわかるぅ」
 二人が部屋の感想を言い合っているとやちるが顔をのぞかせた。
「ん?ななちんのアイディア。赤ちゃん生まれるでしょ?言われてみると赤ちゃんの荷物も結構場所とったなぁって思い出して」
「成程ぉ」
「まあ、七人育ててればなぁ…」
「そうだねぇ。母ちゃんより、お義母さんのがすっごい相談乗れそう…」
「うん。あたしよりななちんにして。あたしもう忘れたよ。おむつ交換できない自信ある」
 八千代が思わず呟くとやちるも真剣に頷いた。
「そんな自信いらない。そこはちょっと期待してたのに!母ちゃんの忘れんぼ!」
「いーじゃない、あたしより秋君のが詳しいよー。絶対」
「あー…それは言えるかもぉ」
 嫁と義母の会話に一秋は苦笑いしか浮かばない。確かに弟妹、姪甥のおむつ交換やミルクやりはしたことがあるし、まだ記憶にある。八千代より小さな弟妹もいるから、記憶に新しい。確かにやちるよりは覚えていると言える。

「楽しみだねぇ」
「うん、すっごい楽しみ」

 仲良くはしゃぐ嫁と義母に一秋は笑みを浮かべ見守る。
「おい、やちる」
「なーに、剣ちゃんっ!」
「なんだ、こっちにいたのかよ」
「うん」
 これで家族が揃った形になり、八千代はいつも通りに振る舞うが一秋は少し緊張した面持ちになった。

「…親父さん」
「あ?何だ?」
「……親父から貰ったんですが。一杯どうですか?」
「いいじゃねえか」
 一秋が春水から持たされた酒瓶を掲げて見せる。義父と婿と言う気持ちで一杯かわせばまた気分は変わるというものだ。恐らく春水自身左陣とも酒を呑み交わしたのだろう。
「いいなぁ…」
 八千代が羨ましそうに呟く。
「あれは男同士ってやつよ。それに八千代は今はお酒ダメでしょ。こっちでお菓子食べよ」
「うん」



 こうして、無事に二人は正式に認められるようになったのでした。





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