◇BLEACH if…
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やちる自らが指摘し、頬を膨らませる。
「ガキは、まだまだいらねぇな」
剣八としては、女のやちるを知り始めたばかりで、子供まさほど欲しいと思わない。
「そう?剣ちゃんが枯れる前に、子供作った方がいいって言われたよ?」
やちるの無邪気な言葉に、剣八の手が止まり、こめかみに血管が浮かび上がる。
「想像は付くが、それを言ったのは誰だ?」
「ヒゲパパ」
剣八は、やちるを膝の上から下ろし、斬魄刀を手にし隊舎を飛び出していった。
「京楽!!」
八番隊に飛び込んだがそこには七緒がいるだけ。
「てめえの、ろくでもねぇ亭主は何処だ」
「そんな霊圧振りまいて来られるから、逃げましたよ」
「ちっ!」
鋭い舌打ちをすると飛び出しかけるが、七緒に呼び止められる。
「あのっ!半殺しに留めて下さいよっ!子供に父親が同僚に殺されたなんて教えたくありませんからっ」
「殺しても死ぬかよっ!」
一応七緒の言いたいことは解ったらしい、獰猛な笑みを見せ走り去る。
「さて、今日お父さんは帰ってこれるのかしらね?」
「更木君しつこいよっ」
「てめえがやちるに余計な事を吹き込むのが悪い!」
怒鳴り付けながら、剣を振り下ろすが、春水は素早く避ける。
「早く帰って、やちるちゃんと一緒にいてあげなよ」
「てめえを始末したら、ゆっくり可愛がるさ!」
「ひえ〜」
春水が無事に家路に辿り着いたのは、深夜だったという。
「ちっ、逃げ足だけはやたら早い奴だ」
「ヒゲパパ、逃げるの年季入ってるもん」
やちるの言葉に剣八は吹き出す。
「そういやそうか」
「…剣ちゃん、おかえり」
やちるが剣八の頬に口付けをする。
「…ああ、一眠りするか」
「うん」
こうして、一週間ぶりに二人は床を供にし、深く安らかな眠りについたのでした。
おしまい
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