◇BLEACH if…

 きつく吸われてびくりと跳ねる。
「あ、ああっ」
「はあ、もう堪んない…七緒ちゃんっ」
 春水は腰を大きく引き、強く激しく叩き込む。
「あああっ!」



 大きな広いホテルのベッドで二人は何時までも飽きることなく愛し合った。

「ん〜帰りたくない〜」
 七緒を抱きしめ腰を押し付けながら春水がぼやく。
「……駄目ですよ。京楽隊長」
「うう、思いださせるような呼び方しないでよ」
 何百年も隊長という地位にいるのだ。忘れたことがなければ、身に染み付いた習慣が消えるはずもない。
「…だって、私が知っているころから、ずっと京楽隊長なんですもの…」
「……そうだろうけれど」
「……不思議」
「何がだい?」
「京楽隊長が私のものだなんて」
「ん!何を今さら!お付き合いしてから何年経ってて、結婚してからどれくらい経ってると思ってんの!七緒ちゃん」
 ぐいと腰を押しあて突き上げる。
「ああん」
「ほらほら、ここにいるよ」
「あんっ」


 一週間後、嫌がる春水を宥めすかして、叱り飛ばして、瀞霊廷へと戻ってきたのだが。


「駄目ですよ、隊長」
 七緒が眉間に皺を寄せながら、拗ねて唇を尖らせている春水の唇へ人差し指を当てる。
「七緒ちゃんのケチィ」
「あらやだ、七緒」
「きゃっ、何ですか乱菊さんっ」
「結婚してあんまり変わらないなぁって思ったら、新婚旅行ですっかり変っちゃって」
 突如乱入してきた乱菊が面白そうに二人を眺める。
 七緒がおおっぴらに甘い顔をしていることがかなり珍しい光景なのだ。

「え?」
「やだ、あんた無意識だったの?今みたいな時、何時もなら本か扇子でびしっと叩くところじゃないの」
「う…」
「あ、ああっ」
 乱菊の指摘に七緒は真っ赤になり、春水はうろたえた。
「ダメ、ダメ、乱菊ちゃん、そんな事思い出させちゃダメだって」
「いやだ…私ったら…」
「いいじゃない?たまには、新婚ボケっての?」
「いえ、仕事中は言語道断です!」
 七緒は深呼吸をし眼鏡を持ち上げる。仕事に私情を、ましてや恋愛感情を入れるとは飛んでもないことだと七緒は考える方なのだ。

「ああああ〜」
 本気で嘆く春水の様子に、乱菊は苦笑いで肩を竦める。
「ご免なさぁい、京楽隊長」
「恨むよ、乱菊ちゃん」
 恨めしげな視線を向けられ、乱菊は書類の束を七緒へと手渡しそそくさと退散することにした。


「さあ、隊長お仕事です」
「ううう、甘い時間が…」
「何時までもごねないの!」
 嘆く春水を叱りつけながらも七緒は後ろを向いて小さく舌を出す。
「早く片付けないと、家に帰れませんよ」
「片付ける」

 長い付き合いは伊達ではない。
 多少茶々を入れられた所で揺るがないものなのだ。

 ただ、新婚旅行で変わったとしたら…。
「七緒ちゃん、ちゅうして」
 目蓋を閉じて唇を突き出す。
「…仕事してくださいよ」
 辺りを見渡し、今度こそ邪魔は入らないことを確認して、ちゅっと音を立てて七緒が応じてくれる。


 ちょっとだけ、春水の我儘が通じるようになったのでした。




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あきゅろす。
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