◇BLEACH if…
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 七緒の話に、剣八は春水を見、やちるは七緒に抱きついた。
 春水は妻の話にうまく丸めたものだと、感心していた。
 解りやすい喩を見せ付ける事で、頑なな態度を和らげてしまった。
「ふえええー」
「七緒ちゃん、お乳みたいだよ〜」
「あら、おいで〜」
「お母さんの所いこうね〜」
 春水にあやされながら、子供は七緒の元へ。七緒は赤ん坊を受け取ると、襟元を緩め乳房を赤ん坊の口に含める。
「わ〜、飲んでる〜」
「この子達、霊圧があるのよ。だからこうしてお乳を上げるの」
「そうなの!?」
「まだ、歯が生えていないから、お乳がご飯なの」
 七緒は二人に説明をする。
「そっちの背中のは静かだな」
「うん、この子は良く寝るんだよ〜」
 背中から下ろし、見えやすいように抱く。
「やちるちゃん抱いてみるかい?」
「…うん!」
 やちるは春水から子供を受け取り、教えられたように抱く。
「わ…重い…」
「あなた」
「はいはい」
 春水はお乳を飲みおわった赤ん坊を受け取り、背を軽く叩く。
「…けぷっ」
 七緒はその間に身を整える。
「ね、剣ちゃん、あたしってこれくらいだった?」
「…そうだな」
 やちるの言葉で、記憶が揺り起こされる。まさに拾った時のやちるの大きさだ。それをやちるが抱いている。その奇妙な感覚に、嫌悪は感じない。
「君の背中に、やちるちゃんと君に似た子がいるのも楽しそうだね」
「…悪かねぇな」
 剣八の口端が釣り上がる。ようやく見せた剣八の笑みに、やちるの表情が明るくなる。
「そろそろ帰ろうか」
 春水の促しに、七緒は素直に頷き、やちるから子供を受け取ると、剣八とやちるに挨拶をし出ていった。

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