◇BLEACH if…
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「ん〜…」
左陣は妻の呻く声で目が覚めた。
「…三夏?」
片腕で上体を少しだけ起こし鼻先で頬を軽く突く。
「…あ、ごめんなさい…起しちゃいました?」
少し青ざめ力ない笑みを浮かべる。
「…くん…生理か?」
三夏の顔色と微かな匂いも捉える鼻によって何が起こっているのかが解った。
「ええ」
頷くものの眉間に皺を寄せる。どうやら頭痛もあるようだ。
「ほら…まだ起きるまで時間がある、儂の懐に…」
「はい」
腕を広げ布団を持ち上げ温かい己の体で包む込む。
「はあ…温かい」
安堵の溜息を漏らし体を押し付けてくる。左陣は大きな手で腰を温めながらもう片手の指先で優しく頭を撫でる。
「ん…もう少し後ろ」
「この辺りか?」
「ん…」
甘えるように擦り寄る妻を、左陣は更に甘やかす。
三夏は出産してから生理痛がひどくなってしまっていたのだ。
その為左陣は己の所為だとも思い、優しく接するように心がけている。
「出産は体に負担がかかりますし、ホルモンのバランスも崩れます。体質が変化することもありますから、こればかりは狛村様の所為ではないのですよ。女性ならば誰にでも起こりうることなのです」
烈がそう説明をしてくれたのだが、それでも自分の所為だから優しくしたいと思っていた方が気分が楽になれるのだ。
義父の春水のように人目を憚ることなく甘やかすような事はできないので、良い口実なのだ。無論三夏はそんな左陣の気持ちを知っているので、思う存分甘えることにしている。
「えー、いいなぁ!三夏ちゃん」
羨んだのは緑だ。
鉄左衛門に会いに来たのだが、生憎左陣と揃って隊首会に出ていると説明をうけ三夏に誘われるままに帰ってくるまでのお喋りに興じていた。と、言うか惚気を聞かされていた。
「でも、緑ちゃんは生理痛ないんでしょう?そっちの方が羨ましいわぁ」
今朝方の辛い痛みを思い出し三夏としては愚痴のつもりでお茶を啜り溜息を吐きだす。
「だって、鉄様に甘えるのって難しいんだからぁ。口実あった方が私的には嬉しいんだもん」
「…まあ、そうでしょうけど」
唇を尖らす緑に三夏は苦笑いを浮かべるばかりだ。
「でも、知ってる?射場さんって結構甘えさせ上手なのよ?」
「そうなの?」
「ふふ、うちの子供達が、七番隊の中で誰に一番懐いているか」
「ま、まさか、鉄様なの!?」
「そうよ」
身を乗り出す緑に三夏は笑顔で頷く。
「何て羨ましいことを!」
女二人が喋っている側で子供達は積み木で遊んでいたのだが、三人の耳がぴくぴくと動いた。
「とうちゃんだ!」
「てっちゃんだ!」
「かえってきたよー」
三人が立ち上がり玄関へと走っていく。
「ね?」
「う、うん」
三夏と緑も子供達の後について玄関へと向かう。
子供達の騒ぎに側にいた隊員達も気が付き出迎えの準備する形になった。
直ぐに扉が開き隊員が頭を下げる。
「「おかえりー!」」
西治と西造が大きな父親に飛びつくが、どうやら南槻には少し脚力がないようで飛びつけない。その為迷わず鉄左衛門へと飛びついた。鉄左衛門もいつもの事なので理解しているのだろう、腰を屈め両腕を差し伸べて飛びつきやすい体勢を取っていた。
「おかえり、てっちゃん」
「おう、ただいま」
南槻の挨拶を笑顔で受ける鉄左衛門を恨めしげに緑が見ていると三夏が緑を突いた。
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