◇BLEACH if…
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 同僚のやに下がった表情を思い出し、顎髭をなぞる。
「倦怠期なのかな?」
 この言葉で何故やちるが、京楽家に来たのか良く解った。
 長く供に連れ添うこの夫妻なら、と来たのだろう。倦怠期と言う言葉は、夫妻の間以外にも用いられるが、一般的には、夫妻に使われることがやはり多い。

「更木君は理由を言わないの?」
「うん、何も言ってくれないの。近寄ろうとしても、『寄るな』って怒るの」
 明るく笑顔が似合うやちるが、しょんぼりとうなだれている。
「…他の誰にも理由を伝えていないのかい?」
「うん、つる…一角も、弓親も知らないって」
「ふーむ…」
「あたし…もう、剣ちゃんの側にいちゃ駄目なのかな…」
「やちるちゃん、諦めるの?」
「やだっ!」
 七緒の言葉に顔を上げて首を振る。
「じゃあ、諦めたら駄目じゃない」
「うん…」
「…肝心なのは、理由だね。どれ、ボクが尋ねて…」
「いいえ、私が行きます」
「七緒ちゃん!?」
「更木隊長に、ちょっと確認したいこともあるの」
「駄目だよ!更木君の霊圧でお腹の子に何かあったら…」
「あら、あなたと私の子供よ。この子達だって、やちるちゃんの霊圧にけろっとしてるじゃないですか」
「いや、そうだけど、やちるちゃんと更木君の霊圧じゃ随分質が違うし…」
 突如始まった言い争いに、やちるはきょとんとして見ていた。
「万一の時は、ちゃんと逃げてきますから。今は十一番隊にいらっしゃるわよね?」
「あ、うん」
「あ、あなた」
「何だい」
「その子達のお乳がまだですから、連れてきて下さいな」
「…皆で行くのかい?」
「ええ、十一番隊にこそお見せすべきでしょう。お話は私がしますけど」
「はいはい…」
 春水は立ち上がり出掛ける用意をする。
「ちょっと支度に時間が掛かるから、お菓子食べて待っててね」
「うんっ!」

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