◇BLEACH if…
6

「射的?」
「うん、鬼道使ってね」
「ああ、成る程」
「一等取って!」
「賞品はなんなんだ?」
「あのね!あれっ!」

 八千代に引っ張られて連れてこられた道場の壁際には、巨大な熊のぬいぐるみが鎮座していた。
「あれ、欲しいのっ取って」
「…的は?どんな?」
「あれなのっ」
 八千代が指で示した的は、並ぶ的の中でも一番遠く、小さな的だった。
「結構丈夫なの。当てても落ちなかったり、燃え付きてもダメ」
「成る程、距離と力加減がもの言うわけだな」
 しかも未だ飾られていると言う事は、中々難しいのだろう。
「ハンデもあるのかな?死神でも席官クラスなら取れるんじゃないかと思うけど」
 一秋が的を見、距離を測る。
「うん。目隠しだって」
「うはっ、きついな」
 八千代が心配そうに一秋を見上げる。

「任せなさい」
 係りの学院生に札を渡し挑戦する的を告げる。
「ではこちらの目隠しをさせていただきます」
 係員が一秋に目隠しをし、その上手を引いて立ち位置を変えてしまった。
「では、どうぞ」
 他の的に挑戦していた学院生達も、思わず固唾を飲んで見守ってしまう。

 一秋は動揺することなく、手を上げて構えた。
 腕の角度が正確に的に向かっている。

「破道の三十三、蒼火墜」
 掌から炎が放たれ的に向かう。

 炎が的を包み落とし、落ちた的は燃え尽きることなく残っていた。


「やったあー!」
 八千代が一秋に抱き着くと、一秋は目隠しをずらし上げて、的を確認する。
「取れた?」
「うん!ばっちりっ!すご〜い一秋っ」

 学院生達の中には初めて詠唱破棄した状態を見た者もいて、どよめきが起こる。

「カッコイイぞっ、一秋っ」



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