◇BLEACH if…
12
数日後、隊内は当然のように大騒ぎになっていた。
やちるが一人で行動すると、男供が群がる。
それは昔からのこと。
十一番隊に珍しい女の子で、副隊長で。要するに昔からアイドルだったのだ。
剣八と結ばれて、些細な仕草が女性らしくなってしまったやちるに、アイドル以上の視線をむけてしまうのも仕方のないことなのだが…。
「気にいらねぇな…」
「なーに?剣ちゃん?」
「やちる、俺から離れるなよ?」
「モチロン!」
剣八にぎゅっと抱きつく。
今までとちょっと変わったことは、こういう時に剣八が少しだけ抱き返してくれるようになった。
「剣ちゃん」
「何だ?」
「ありがとうね」
剣八は黙ってやちるの頭を撫でる。
やちるは何時でも、剣八のよき理解者だったのだ。強さを望み、後ろを見ることのない。
何時だってやちるは、後ろから追いかけて、応援をしてくれて、供にあり続けてくれた。
邪魔などしない。寧ろ邪魔を排除し、道を示してくれていた。
「ありがとうな」
今度は剣八がやちるに礼を言う。
「なにが?」
やちるはきょとんと首を傾げる。
「なんでもねえ」
「そっか」
やちるは満足そうに頷く。
「解っていってんのか?」
「うん?解んないけど、剣ちゃんがそれでいいなら」
「…そんなものか?」
「そんなものだよ」
二人は顔を見合わせ笑う。
「ああ、見慣れない…」
ずっと二人に付いてきた一角が頭を抱える。
「…見慣れるのに時間が掛かりそうだね」
弓親も苦笑いで、一角に賛同する。
「全くだ」
まだまだ、騒ぎが広がるのはこれからで、序の口だということに、四人は気が付いていないのは言うまでもないだろう。
了。
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