◇BLEACH if…
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 その想像は大当たりだった。

 3日目、やちるは普段と変ることなく、元気に出勤してきた。昼からであったが。

「あ、皆金平糖ありがとー!」
 隊員へと手を振り礼を言う。
「おう来たか、やちる」
「剣ちゃん!」
 隊員のザワツキに、剣八が一角を連れて顔を出す。やちるは声に振り向き満面の笑顔になる。
「熱は引いたんですか、副隊長」
 一角が少しばかり心配そうに声を掛ける。
「あ、つるりん!おそよー。うん大丈夫だよ」
「それはやめろっつってんだろ、ドチビ」
 昔から延々と変らないやりとり。
 それを眺めて、剣八は大欠伸をした。
「剣ちゃん眠いの?」
「ああ…流石にな」
「お昼寝する?」
「そうだな」
 二人揃って隊長室へ行くと、剣八は早速寝転がる。
「剣ちゃん」
 やちるが側に座り、自分の膝を軽く叩く。
「ああ、すまねえな」
 剣八は当り前のように、やちるの膝の上に頭を乗せた。

「げ」
「なんだ?」
 このやり取りを目前で繰り広げられ、一角はつい声を漏らした。
「…いえ、何でもねえっす!失礼します」
 慌てて、一角は隊長室を飛び出し、扉を締めた。
「あれは、出来たね」
 何時の間にか弓親が来ていた。
「…ああ」
 何も言わなくとも、二人の間の空気が甘く漂っていたのが解った。

「隊長も人の子だったんだねぇ…。あんなしまりのない顔されるとは思わなかった」
「それはいえる」
 二人の席官は顔を見合わせ大きく溜息を吐いた。この後、十一番隊が大騒ぎするのが手にとるように解ったからだ。
「ま。別れるより何倍かましか」
「そうだね」

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