◇BLEACH if…
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「更木隊長!お手合せ願います」
 八千代と共に十一番隊に戻るなり、一秋は剣八へ申し出た。


「今日こそ楽しませてくれるんだろうな?」
 剣八は口端を上げ、一秋を見下ろす。
「はいっ!」
「よしっ!掛かってこい!」


 この日の一秋の気合いは何時になく鋭かった。剣八の口端が緩やかに上がっていく。
「はぁっ!」
 一秋は気合いを籠め、斬魄刀を振り下ろす。
「おっ……ようやくやるようになったか…」
 剣八の腕に赤い線が浮かび上がった。じわりと赤い線が広がり、滲み出た血液が少しずつまとまり肘を伝い、床に染みを作っていく。
 剣八は嬉しそうに笑みを浮かべ刀を構え直した。

「剣ちゃんそこまで!!」 
「ああ!?これから良いところ何だぞっ!止めるンじゃねぇ!やちるっ!」
 やちるの鋭い声に、剣八は額に青筋を浮かべ、怒鳴り返す。
「剣ちゃん!未来の息子殺す気!?八千代に泣かれて嫌われるよっ!」
「何だとっ!?」
 やちるの隣には不安そうな表情の愛娘がいた。やちるの言葉が頭に入り切らず、切っ先が自然に下を向く。

「はぁっ、はぁっ…更木…隊長っ!俺っ八千代と付き合いたいんですっ」
 一秋は剣八へ一太刀浴びせたただけで、肩で息を吐いている。それでも土下座をし頭を下げ、肝心な事は忘れる事無く、はっきりと告げる。
「はあっ!?」
「昔っ、草鹿副隊長にプロポーズしましたけど、八千代を見て解ったんです。俺、副隊長にこれから生まれる八千代の面影を見つけていたんだって…。俺が本当に好きになるのは、八千代だったんだって…」
 一秋の言葉に、やちるを見れば、やちるは満面の笑みで大きく頷いており、娘は恥ずかしそうに、母に寄り添っている。

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