◇BLEACH if…
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「コマコマ照れなくていいのに。剣ちゃんもするよ?」
「…更木もかっ!」
 左陣は驚きの表情になる。護廷十三隊の隊長二人揃って女に甘いのかと思わず考え込んでしまう。
「…あ、私や夏四が小さいころ、山本総隊長にもさせていただいたことがございます」
「なっ!!元柳斎殿までもかっ!!」
 左陣の恩人の元柳斎までも『あーん』をしてもらっていたとなっては、最早何も言う事はできない。
「はい、私と夏四が初めて作った、クッキーを食べてくださいました」
「………」
 小さな孫とも言えるくらいの女の子に『おじいちゃま、あーん』とされては誰もが素直に従うであろう。
 そして、左陣はある事に思い当たってしまった。元柳斎にしたということは、当然の事ながら、父や兄にもしてきていると言う事である。更に春水の友人で親しい十四郎にもしている事が容易に想像された。
「…でも、お弁当は初めてです…」
 三夏は頬を染めて左陣を見上げる。
「………そうか」
「はい、あーん」
「あー…」
 まだ、やちるも鉄左衛門もいたが、気にしないことにした。
「…うむ、美味いな」
「良かった…」
「次は、それをくれぬか?」
「…はい!」
 次のおかずを指差し、三夏に促す。三夏は嬉しそうに頷き指示されたおかずを箸で摘んだ。

「ああん、いいなぁ。あたしも剣ちゃんといちゃいちゃしたーい!帰ろうっ!!」
「あーあ、行ってしもうた…」
 二人に当てられたやちるは軽やかに身を翻し、十一番隊へと帰って行き、一人残された鉄左衛門は苦笑いを浮かべ頭を掻く。
「……隊長にも、春なんじゃな…」
 小さく呟き、そっと部屋を出て行った。



 二人きりになり、左陣は安堵し、遠慮なく口を開ける。
「はい、あーん」
「あーん」




 ここにも一人、女に甘くなってしまった隊長さんが、出来上がってしまったのでした。





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あきゅろす。
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