◇BLEACH if…
8
「やちる」
「あ、剣ちゃんお帰りなさい」
 やちるは元気に剣八に抱きつき出迎える。
「ほらよ」
「何?」
「皆からだ」
「ありがとー、なんだろ?わあ、金平糖だ!」
 流石に昔のように流し込むように食べる事はしなくなったが、それでも好物には変わりがない。早速袋を開けて、一粒取り出して口に放り込む。
「おいしー」
「おい」
「何?」
 口をもごもごと動かし首を傾げるやちるに、剣八はすごむ。
「そっちより、俺だろう?」
「剣ちゃん?」
 解らないやちるに、剣八は行動で示す。首にしがみついたままのやちるをそのまま、抱き上げ、頭を支えると唇を重ねた。舌を忍び込ませて、やちるの舌の上にある金平糖を奪い取る。
「んん!!」
 やちるが怒るが、すぐさま金平糖を舌の上に乗せて返す。それを何度か繰り返す。
「ん……ふぅ…ん、ん」
 小さな一粒の金平糖は、あっという間に溶けてなくなっていく。
「…甘ぇな」
「……金平糖だもん…」
 やちるの頬が赤く染まっていた。拗ねているような、照れているような複雑な表情で剣八を見上げる。
「剣ちゃん……」
「ん?なんだ?」
「……あのね」
「だから、なんだ?」
「剣ちゃん、好きな人いないの?」
「は?俺が昨日お前を抱いたのは何なんだ?」
「だって、剣ちゃんは優しいから…。あたしの我がままは結局聞いてくれちゃうでしょう?」

 今日一日布団の中で一人で考えていたためだろうか、やちるにしては随分後ろ向きの結論を出してきていた。

[*前へ][次へ#]

8/13ページ

[戻る]


第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
無料HPエムペ!