小説(中編)
―7―
乱れた髪を揺らしながら立ち上がり、シーヴァスと向き合う。
「すべては我らが花のために」
後に合言葉となるだろう言葉。
それを聴いたシーヴァスは満足げに笑った。
彼らの深い悲しみを癒すことの出来る唯一のものは、醜い感情に満たされたこの心の矛先を見付けることだけだった。
それだけが今の彼らを救う手立てだ。
罪人を安穏とのさばらせておくことなど、赦せるはずもない。
ゴミはさっさと処分しなければ…。
綺麗な部分さえも汚してしまう。
堕ちた人間は愚者の群れとなり、洪水のように罪を溢れさせるだけだ。
使命を帯びたその考えはオリフラムを落ち着かせる。
「君の愛したもののために、危険分子は排除してしまおう。だから、安心してゆっくり眠っておくれ」
口元に笑みを浮かべ、何時間も共にしたテレシアの柩から離れる。
『使命』は、オリフラムを間違った方向へと向かわせ、一時の慰めを与えた。
そうすることで彼の痛みは誤魔化される。
[*前へ][次へ#]
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!