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その3








「おいマルコ! お前からも言ってやれ!」

「よいよい…ペチーノ、」
「なにー、まうこ?」
「おれのお膝にこいよい」
「うい!」






結果は惨敗だった。戦う前から戦闘不能って、どういうことだ。重く深いため息が出る。何がよいのか知らないが、酔いが回ったマルコは自身の膝をぽんぽん叩いて子供を呼び、そしてその子供は嬉々として膝に飛び乗っていた。普段のあの過保護で親バカ丸だしな様子はどこにいったのだろう。

というか、どうしてそんなに酔ってるんだと叫びかけてサッチは気がついた。マルコがおかわりしたケーキが、度数の強いブランデーをたっぷり使用したガトーショコラだということを。つまり、酒をつまみに酒を飲んでいたことになる。チョコだけでもきついのにブランデーまで入っていたら、そりゃあ悪酔いもするだろう。しかしなんという馬鹿さ加減だ…これで本当に1番隊隊長なのか。

ちょっぴり白ひげ海賊団のゆくすえを心配しながら、サッチはマルコとペチーノに目を向けた。典型的な酔っ払いはご機嫌で、可愛い可愛いとまろやかな頬にひげをじょりじょりしている。ああ、なんだかもういっそ清々しい気持ちだ。





「くそぉぉお!!!」
「まあまあ…そういえばサッチ、悪魔の実はどうするんだ?」
「そーだぜー、食わねえのかー?」
「いやー……あ、」






素面のジョズとへべれけエースの問いに答えかけて、そういえばこいつらは悪魔の実の能力者だったと思い出す。そこではっと気づいた。この二人に味がどんなものか聞いてみよう。それでどう料理するか決めて食べればいい。取り合えずジョズに「悪魔の実ってどんな味だったんだ?」と当たり障りなく聞いてみる。

すると心優しい彼はううんと少し考えて、言葉を選んで「この世のものとは思えない…なんと言うか…絶するな、色々と」と言ってくれた。困ったように下がる眉に、その色々が重要なんですがとは言えなかった。





「そ、そっか…ありがとな」
「ああ…っと、」

「サッチィ! おれが食ったときはなー!」
「だーっ! 叫ぶなバカ!」
「けけけけけ!」









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