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その2








他愛もない会話に笑って、二人でビールを酌み交わす。マルコは勝手にケーキをおかわりしている。しかもホールで。そうして2回ほどジョッキを空にしたところで、大きな影が三人に落ちてきた。なんだろうと顔をあげれば、見慣れた顔がみっつ並んでいる。横じゃなくて、縦にだ。ちなみに上からペチーノ、エース、ジョズの順番だ。あれ? なんだか前にもこんな光景みたような気が…と既視感を覚えてサッチは首を傾げた。





「……ああ、トーテムポールか」
「どうしたサッチ、頭湧いた?」
「ぐつぐつー!」
「沸いてねえよ、てかペチーノも嬉しそうに言わない!」






明るい調子でからんでくる人工トーテムポールの上と中に、動きをつけてびしっとつっこむ。が、雰囲気に飲まれて“できあがって”しまった、ハイなテンションの子供二人(片方には酒が入っている)には逆効果だったらしい。ちなみにハルタはイゾウ達のところに行ってしまった。

きゃらきゃらといつもより1オクターブ高い声で笑うペチーノに可愛いなあと思いつつ、サッチはぐわっと目に力を入れて声を張った。そりゃもう、周りの喧騒に負けないくらいに。





「子供はもう寝る時間でしょうが!」
「やあー!」
「くっ、かわい…じゃなくて!」






いやいやと顔をエースの頭で隠して言う姿は可愛いが、ここで甘やかしてはいけない。近い将来、ものすんごく可愛くてわがままな小悪魔的存在になったらどうする。いや、それはそれでいいけれど。手の平で海賊を弄ぶ、大きくなった子供を想像してサッチは身震いした。今でも数あまたの海賊(赤髪とか赤髪とか赤髪とか)をメロメロにしてると言うのに、そんなになったら世界征服なんて目じゃない規模で人々を魅了するに違いない。ちんまいくせになんと罪作りなお子さまだ。

しかし、今の状態のペチーノが言うことを素直に聞く確率はほぼないに等しいし、状況を把握できているかすら怪しい…。サッチはしかたなく秘技・過保護者バナナップルを唱えることにして、ばっと自分の横を振り返った。








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あきゅろす。
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