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その3








そこにあったのは、世にも奇妙な形と色をした果物だった。ぐるぐると渦巻くような模様に、ごくりとのどが鳴る。グロテスクな見た目通り、これは危険だ。そうっと宝箱からとり出しながら、「果物は冷蔵庫にちゃんと保管しろよ」なんてふざけ混じりにひとりごちて、サッチは目の前に持ちあげてまじまじと果物を見つめる。





「…ど偉いもん、見つけちまった」






海に生きるものなら誰だって知っている。悪魔の実だった。どんな実かまでは知らないが、食べれば必ず海から嫌われる。財宝なら親父に持っていくのだが、悪魔の実となれば話は別。彼はすでに“グラグラの実”という悪魔の実を食べていて、超人的な能力を手に入れているのだから。

2つの実を食べた者に待つのは破滅のみ。サッチは親父に死んでほしいなんて気持ちは微塵も抱いてないので、この悪魔の実は持っていってもしかたがない。いや…売れば1億以上になる代物なので、まあいいか。





「おいサッチ……って、それ、」
「おう、悪魔の実だぜ」
「……食うのか?」






全ての敵を倒し終えたのか、ひょいと顔を覗かせた末っ子に実を見せる。彼は自分が食べたときのことを思い出しているのか、ひどく険しい表情でうげえと声をあげた。そんなエースの質問に首を縦に振りながら、サッチは「ほら撤収ー、船沈んじまうぞー」と腰をあげる。それに意外だと、末っ子が声をあげた。





「食わねえの? それ食ったらマルコに勝てるかもだぜ?」
「食わねえよ…つか負けてねえし!」
「え、なんでだ?」






負けてないという発言は最初から聞いていないふうにスルーして、さも不思議そうに首を傾げるエースにサッチは笑みを浮かべて言った。








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あきゅろす。
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