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はじまり








天下一の海賊団といえど、他の海賊との戦闘は少なからずともある。それは相手が売ってきた喧嘩を買うことが主なのだけれど、戦いは戦いだ。





「白ひげの首を討ちとれー!」






おうおうと響く雄叫びに、聞き捨てならない台詞にみんな殺気立つ。敵船がやってきた。親父を殺して名をあげようと、野望を胸にした馬鹿な野郎どもが。

命知らずのやつらだと笑うサッチがナイフを投げて、モビー・ディック号に乗ろうとかけられた縄を断ち切る。ぶつん。鈍い音がして、野太い悲鳴の少し後に大きな水飛沫があがった。無感動に水の軌跡を眺めて、ふと横にいるだろうペチーノに目を向ける。太陽の香りをまとった愛しい子供へ、血を見せるわけにはいかないのだ。再び悲鳴をあげてジャボンと海に落ちていく敵を見ながら、マルコは近くにいたハルタに声をかけた。





「ペチーノを安全なところに連れてってくれよい!」
「わかった!」
「まるー! しゃっちー!」






不安げに名前を呼ぶペチーノをさっと抱きあげて船内へと駆ける仲間の背中を見送り、身体を青い炎に包まれた不死鳥へと変える。早く終わらせてあのちんまい温もりを安心させたかった。子供にあんな顔は似合わない。はやる気持ちとともに敵船へ飛ぶマルコの後を追うように、サッチはサーベル片手に走り出す。





「パパは心配性だねー、ったく…」






一気にぴりりとした空気を緩めるように呟きをもらしては敵を薙ぎ倒す。そんなに心配ならば自分で連れていけばいいのに、なんてことはみんな思っている。マルコに少し遅れる形で敵船に乗り込むと、船内から沸いて出るような数の敵を何度も何度も斬り捨てた。








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あきゅろす。
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