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誰何



「う゛お゛ぉおい、フランン゛!」

「…うっさいですねー。
何なんですか作戦隊長ー」

「なんでこの城に見知らぬ女がいるんだぁああ!」

「大体今何時だと思ってんですー?
二時ですよー、丑三つ時ですー」

「しかもなんで俺の部屋であられもなくねてんだぁあ!?」

「もーほんとヴァリアーは迷惑な人ばっか―――」

「話を聞けぇえええ!」


クソッ…!
訳がわからねぇ。
任務からやっとのことで戻って来られたと思えば、なんと、自分の部屋で婦女が寝てるじゃねぇかぁ。
何者なんだよ、アイツはぁ…。

このヴァリアーに呑気に居座って(というか爆睡)いるということは、只者じゃねぇと思って、ある程度拘束して放置してきたが、よく見てもわるく見ても女。

こんな言い方も好かねぇが、所詮、女。

ということで、任務もなくおそらくはずっと城にいたであろうフランに訊ねてきた、というわけなのだが。


こんのカエルがぁ。


「もーミーはあと1時間ちょっとしか休めないんですよー?
というわけで―――ぐぅ」

「寝るんじゃねぇぇえええ゛!」

人の話を1から0までも聞きやがらねぇ。
こんなに騒ぎたてているのに、一体どんな神経してんだ。


「…んだよ。っせーなぁ」

「あ、ほらー堕王子まで起きてきちゃったじゃないですかー…騒音2乗」

「あ?イミわかんねーよ、カエル」

「あたまスッカラカンですもんねー」

「今のがオレへの挑発だってのはわかったけど?」

「いい加減にしろぉ…」

フランもベルもよく飽きねぇなぁ。
毎日毎朝毎昼毎晩口論攻防。馬鹿の1つ覚えみたく。
ちょっとは学習っつー単語を理解したらどうなんだぁ?


「で、なんでカス鮫がここにいるワケ?」

「さあー任務放棄じゃないですかー?」

「ししっ職務怠慢かよ」

「ちっげぇぇえ!」

きっちりきっかり任務こなしてのお帰りだ!
コイツらいい加減切り刻んでやりてぇ…。


「で、オレの部屋にのうのうと寝てる女はだれなんだぁ?」

「は?―――あ、咲サンのことかー」

「ししっカエルの嫁だってさ」

「死ね堕王子」

「嫌だね」

ダメだ…。
話が一向に進む気配がねぇ。

「―――まーとりあえず。
起こすのも可哀想なんで朝まで待っててあげて下さいー」

「チッ…しょうがねぇ」

それならば、朝まで何をしようかと思いを巡らせながら。
ふ、と時計を見やればもう30分が経過していて。


「あーもうこんな時間ですねー」

お前らの無駄な口論さえなければ5分で終わった話だがなぁ。

「ミーは任務に出向かなきゃいけないのでー。
まあヘタレな作戦隊長が咲サンにナニかしでかすとは思いませんがー…そのー…」

「ハイハイ、王子がカス鮫見張っとくし」

「いや堕王子がむしろ見張られてて欲しいくらいですがー」

「うっせ」

「どうしようかなー幻覚でもかけとこうかなー」

「オマエは咲のオカンかよ。
さっさと行けよ」

「…じゃーせいぜいよろしくお願いしますー」

「ん」

散々、言いたいこと言い散らかして。音も無く出て行った。
フラン、なぁ…。
暗殺者としては有能も有能なんだが…。


まだ、謎のまま。ひとつ、ふたつ。


あの女…。
フランやベルに心配させる、なんて。
一体どんなヤツなんだぁ。
多少興味が湧かなくもないぜぇ。


fin.


・・・・・・・・・・・・・・・・

断章、的な。
今回は夢主、間接的登場のみ。
……すすすすみません。

「誰何」を「すいか」と読むことを知ったとき漢字かっけぇ!とか思ったなぁ、なんて。
人間どーでもいい記憶ばかり残ってるもんですねぇw


 



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