[携帯モード] [URL送信]
はいすくーるパニック。


「ふゎ〜あ…」


なんだかんだで今日は月曜日。

学生は学校に行かなきゃなんない。
学生の義務。
学生めんど。


まだ寝ぼけて働かない頭で頑張って制服をクローゼットから出す、という動作を考える。


はいそこ―、“え、そっから考えるのかよ”とか言わない―。

え、阿呆?
知ってる――。



「なに朝からユルい百面相してんですか―
やめたほうがいいかと―キモいん………ゲロッ」

バフンッ

「ばかやろ――っ
絶賛お着替え中だわ!!」

フランの顔面に枕がクリーンヒット。


 
「そんな大声出していいんですか―?」

「うぐ、」

そうだった…
朝から大声なんて普通じゃあり得ない。


「それに、和奏サンの着替え見ても発情なんてしな…ゲロッ」

「カエル死ねっ」

今度は目覚まし時計が頭にヒット。
うん、痛そ―。


とりあえず大人しく後ろを向いてくれたので、サッサと着替えた。
それはもう光なんか比ではないくらいの速さで。


はいウソですごめんなさい。



「和奏サンどっか行くんですか―?」

「は?学校だよ」

「あ―
お馬鹿な和奏サンは出席率だけでも稼がないといけないんで…ゲロッ」


本日3度目。
スクールバッグがフランの身体にヒット。
うん、まじ痛そ―。


「あ―痛いです―。
も―涙出てきた―」

そう言って涙目なフランはやっぱりカッコいいと思ったのは、悔しいから秘密で。



「とにかく私は学校行くから大人しくしてて」

「ミーも行きます―」

「うん、そう……って、はぁ!?」
何言いやがるこのクソガエルは。


“ミーも行きます―”
ざけんな。


「ムリ、絶対嫌だ」

「何でですか―」

「あのね、何回でも言うけど。
あんたは目立つの」

「だから変装しますって―」


これを言われると、反論出来なくなる。
でもフランが学生服――…


「ぶっ」

「なんで吹き出してんですか―」

「いやぁ何でもないさっ!
じゃあ仕方ないから連れていってやんよ」

「何様―。
…まぁいいですけど―」


お、フランが毒舌を返さない!
今日は槍が降るね、うん。


 
――――――……

「おはよ―って……え、その人誰よ和奏?」

「あ、ゆんちゃん…おはよ。
コイツは――まぁ空気だと思ってくれれば問題ないから」

「はぁ…?」

ほらね、やっぱり無理があるんだよ。
めちゃめちゃ怪しんでるよ。


「和奏サ―ン、視線ビシバシ痛いです―」

「自分が悪いんでしょ―がっ」

「え―……あ、和奏サンの隣アンタ?」

「は?…あ、あぁ」


ちょっと、隣の宮古君めっちゃ不審なものを見る目で私とフランを交互に見てるよ。
せわしないよ。


「あ、えっと宮古君…コイツは空気だと思って気にしなくて全然いいか―――」

「2秒以内に席替われ」

「っは、はいぃいぃぃ…!!!」


ちょ…ぉ!?!?
何してくれてんのよ、このカエル!!

あぁっ
宮古すごい涙目で荷物抱えて移動したよ?
そんでもって、阿呆という名のフランは平然とその席に座っちゃってるし!!


「ちょっと、何してんのよ」
  .......
「席譲ってもらっただけです―」

「ウソつけ!!」


絶対殺気出してたよね?




まぁ、フランが私に初めて会った時みたいに、殺気だけで心臓止まるんじゃないかとは思わなかったけどさ。

うん、アレは怖かった。


「とにかく、早く席を戻し――」

「桜庭…っ!!
いいんだよ席くらい、な…っ」


彼の表情が“あんな奴の近くにいるなんて御免だ”と語っていた。

うん―その気持ち、凄い分かる―。
あ、現在進行形ね―。


「良かったですね―優しい人で―」

「……そーですネ」


なんかもー疲れた。
早く1日終わんないかなぁ。



そんな、フランの登場で微妙過ぎる空気になったところへ、一時間目の授業を知らせる鐘が鳴った。


「席着いてるか―……って、誰だお前?転校生か、ん?」

さっそく代数の先生に咎められた。
先生は“おっかしーな、転校生なんて聞いてないぞ”と唸っている。

うん、まぁそ―だよね。
連絡してないもん。


“今日、知り合いのマフィアが学校に――――”

なんて言えるわけない。
ていうか別に知り合いじゃないわ、うん。
私が勝手に知っているだけ、なんだから。


「せっ先せ――」

「早くクソつまらない授業始めろよ」


黒――――!?
フランてこんなキャラだっけ!?

あぁもう、先生豆鉄砲くらった鳩みたいな表情になってるから!


「な、何なんだその態度は!!
大体お前一体何処から来たんだ!?」


うわっ
え、それ訊いちゃう?

わー私の人生も終わったかもー。
ぐっばい、私の青春。青い春よ。


「イタリアから来ましたー。
和奏サンの従弟ですー」

「へ?」

「そうなのか、桜庭?」

「え、あ、はい…」


ちょ、なに勝手な設定作ってくれてんの、このカエルくんは。


シュカッ

「っひ…!??」

「フランんんん!!!」

「分かっただろ、ごちゃごちゃうるせぇから早く始めろー」

「……っ!!」


え、コイツ今先生に向かってナイフ投げましたよ?
そりゃぁもう華麗に。

じゃなくて。
先生のシャツ、教卓に縫いつけられてるからね?

びいぃぃいん、て刺さってるよ。びいぃぃいんて。


「てかどんな命中率」

「ヴァリアークオリティですー」

「うん、便利だねーその単語」

「和奏サンには使いこなせないですけどー」


使いたくないわ。
誰が好き好んでそんな物騒な単語を使うのさ。




てか、先生涙流しながら授業始めちゃったよ。
刺さったナイフ抜いて。

……あ。

「あれ、ベルのナイフでしょ」

「あーはい、和奏サンは堕王子のことも知ってんですよねー」

「ベル好きだからねっ(キャラ的に)」

「……ふーん」


あれ?
なんか、心なしかフランが不機嫌になったような。

いや、無表情は変わらないんだけどさ。
一緒にいるのが3日目ともなると分かってくるというかね。

…とにかく、不機嫌みたい。



「ねぇ」

「何ですかー
お馬鹿な和奏サンは大人しく授業聞いた方がいいんじゃないですかー?」

「あーはいはい!
言われなくても聞きますよっ」


…あれ。
なんか言いたいこと言えなかったな。

ま、いっか。
また休み時間にでも聞ければ。



* * * * *


あーイライラする。
なんで。
堕王子の名前聞いたから?

きっとそうだ。
こんな異世界に来てまで、あんな堕王子のことなんか思い出すとか最悪ですねー。

気分悪。キブンワル。


…気分、悪い?
え、ていうかなんか本当に頭がずくずく痛いし身体熱い―――――



「ん、フラン?」

うーあー…これは本当にダメかもー。
もー焦点も定まらな―――――――――


ガターン!

「え、フラン―――――」


意識が、途絶えた。



・・・・・・・・・・・・

ふふふふフランさん倒れた!
…ってな感じで続きます。

あ、全然シリアスとか入らないんでw





 


 

 



4/5ページ

[戻る]


第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!