infinity†
01.傴澄 恢(ウスミ カイ)
ドカッ……バギッ…
街中で鈍い音がいくつも聞こえる
音を出してる少年は、ブカブカな上着だが、素早く動いては喧嘩を仕掛けてきた不良を尽く殴り、蹴り、倒していく
「なんで俺なんかを殴ろうとしてんだよ」
少年は前髪につけていたピンをつけ直しながら山のように積み重なった不良に言う
「ただたんにお前が弱そうだからだろ!」
「見かけで決めちゃ、痛い眼あうぜ?」
クスクス笑いながら、少年は言う。
そして、少年は不良の山に背を向け歩き出す
「まっ待て!! テメェ、何もんなんだよ!!!」
「うっせぇなー、でけぇ声だすなよ。
俺は私立雹硝(ヒョウショウ)学園、高等部…傴澄 恢だよ…」
振り返り、不良の山に伝える。
太陽の逆行で、黄色い瞳がキラリと妖しく光る
「……あっやべ!(カッコつけてる場合じゃねぇ!!)学校遅れちまう!!」
恢はケータイの時計で時間を確かめると焦りながら学校へ走って行った。
「おはよーー!!」
ガシャンッ!! という勢いで、ドアを開けた恢
「何時!? ギリ!?アウト!?どっち!」
「恢〜、ギリでもアウトでもねぇよ」
恢の肩を抱いてそう伝えたのは恢のクラスメイトでツンツン頭の五十嵐 灰悸。
灰悸の言葉に「ホント!?」と眼をキラキラさせる恢、そして、ガッツポーズをとる
「恢くぅ〜ん! お・は・よ〜♪」
ガッツポーズをとる恢に、抱きついてきたのは久藤 泉
恢にゾッコン(?)な少女、だが、泉より背の低い恢…
泉の計算なのか無意識なのか、恢の顔を胸に埋まってしまう
何時もの光景すぎて、誰も何も言わないようになった
「んっぅ………ぷはぁ// 泉!!何時も言ってるだろ!?抱きつくのはいいけど顔は埋めるなって!!///」
「えぇ〜…だって、ちっちゃい恢君がわるいんでしょ?」
「お前なぁ〜!!?」
そうゆう会話をしていると、恢の背後から2つの足音が聞こえた。
「「恢君」」
「あっ、唖兎(アウ)、唖兎(アト)、おはよう」
「「おはよう。」」
唖兎(アウ)、唖兎(アト)と呼ばれた少女達は双子。
見分けがつけにくく、間違われるのが殆どなのだが、恢は間違えない
「どうした? 唖兎(アト)…
なんか嬉しそう」
「うぅん。ただこうやって会えてるのが嬉しいの…ね、唖兎(アウ)」
「……うん。こうやって皆に会えてる時間が好きなの
だから、嬉しい」
そう言って微笑む2人
その2人につられて、恢も微笑む
「そっか、あんま無理すんなよ?」
「「うん、大丈夫」」
「じゃあ、俺、席行くな?」
「うん」
「またお話しようね」
「あぁ。俺も楽しみにしてる。」
2人に右手を振り、席に座る
唖兎(アウ)と唖兎(アト)は互いに見つめあい嬉しそうに微笑むと教室から出ていった
恢はその様子を見送ると、ダボダボの上着の布越しに左手を見つめた
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