infinity†
03
「恢君! 唖兎(アト)は!?、唖兎(アト)は平気なの?」
「っ………」
恢の肩に触れ 焦った様子で聞き込む唖兎(アウ)
黙り込む恢に最悪な状況が頭の中を電流のように素早く走り入り込む
「唖兎(アウ)? 私はココだよ」
「唖兎(アト)! 良かった……っ――!!」
恢の次に物影から姿を表したのは唖兎(アト)
唖兎(アウ)は嬉しさで唖兎(アト)に近寄るが、近付いた瞬間 唖兎(アト)の口元は妖しく笑い
「やめろ!! 唖兎(アト)!!
(クソッ、使いすぎて…能力がっ)」
手に持つカッターで唖兎(アウ)を刺した
「唖……兎(アト)…??」
唖兎(アウ)の腹部からは血が垂れ、服に染み、床にまで落ちている
今の唖兎(アウ)は精神も身体も立ってるだけで精一杯という状態だ
「唖兎(アト)ちゃん! いったい何を」
「唖兎(アト) …… 、 私 ハ ……… 唖兎(アト) ジャナイ ッ !!!」
可憐に向けて音符を投げ飛ばす唖兎(アト)
その眼には怒りが見える
「炎の渦-ファイア・ウォール-」
可憐の言葉を合図に可憐の足下から炎が可憐を囲む
可憐に向かっていた音符も炎によって焦がされ塵となり消える
「っ!!」
一瞬、焦りを見せた唖兎(アト)…
炎の渦を止めた可憐をすぐに音符が囲む
「っっ………あぁあああぁぁあぁあっ!!!」
恢の耳には、可憐の悲鳴が聞こえた
可憐を助けるために音符に触れても何の効果もなし
次に音符が消えた時、恢の目には無傷で倒れる可憐の姿だった
「可憐、可憐!」
何度読んでも応答無しの可憐…
代わりに返事したのは唖兎(アト)…
「超音波……彼の脳に直接伝わり脳を割るという錯覚に襲わせる」
「………」
この状況で平然といる彼女に、腹を立たせる
けれども友情≠築き上げた彼女に手を出すことは出来ない
「S-08mx」
何かの暗号なのか…。
唖兎(アト)が来たトコロから、フードを被ったあの金髪の男子がそう呼んで、コッチにきた
「何…」
「ソイツは殺さなくていい…、寧ろ殺すな」
「…わかった」
唖兎(アト)は恢に向けていた全ての音符を消し、男の隣にきた
「よくやったぞ、S-08mx…褒めとして新しい名前を与える」
頭を撫でながら男は企んでいそうな妖しい笑みを見せる
「今日からお前はシンク・ミュー・ブレイヴ≠セ」
「シンク……私、もう唖兎(アト)じゃない?」
「そうだよ キミはもうシンク…、唖兎(アト)はもうとっくに死んでるだろ?」
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