infinity†
01
「ふふぁ〜」
寮から学園までの道で豪快な欠伸をする恢
昨日(第05話)は結局、恢・銀・可憐・死斗は部屋で寝たのだが、灰悸率いる他のメンバーはロビーで寝たのだ
「恢君、おはよう」
「よっす、アレ…唖兎(アウ)は?」
「ん…、実は長期課外で」
「そうか 1人で大丈夫か?」
「私は大丈夫」
他愛もない会話をしながら教室へと向かう2人
長期課外は能力生にとっては珍しくないコトで、唖兎(アウ)と一緒に暮らす唖兎(アト)は慣れたコトなのだろう…
「恢君は? 長期課外行ったコトある?」
「いや、俺はないなぁ〜」
課外授業という単語は恢自身あまり使わず、「懐かしいなぁ」と呟いた
「恢くーーーん!!!」
「おはよう、泉」
教室に行けば恢は泉に抱きつかれ、苦笑い…
「あら、唖兎(アト)…あなたアタシの恢君に何もしてないわよね?」
「何もしてないよ」
恢をキツく抱きしめ、唖兎(アト)を擬視する。
唖兎(アト)はと言うと、苦笑いしながら恢に助けを求めるような目線を送った
その目線がわかったのか、ニコリと笑った恢…
ドクリと唖兎(アト)の中の何かが反応した
泉と恢の言い合いを見つめていると、何かが頭に乗っかり重くなる
「まるで、恋する乙女みたいな眼で見てるね」
「…っ!!」
ソコにいたのは、名も何も知らないフードを被った金髪の少年が、自分の頭に腕を載せている姿が唖兎(アト)の眼には入ってきた
「キミは誰にも愛されない、誰も愛せないように設定≠オてあるのに、自ら誰かに愛情を示すとは……恐るべしって感じ?」
少年の言葉1つ1つが、長い爪のように自分の心臓を突き刺し、恐怖をえぐり出しているようだった
唖兎(アト)も無意識のうちに息を荒し、震えだす
「唖兎(アト)の変わりで「もう何も言わないでっ!!!」
自分の頭にある少年の手を払い、耳を塞ぎ何かを振り払うように首を左右に動かす
その光景をクラスの誰もが呆然と、目を見開き見ていた
「唖兎(アト)!」
恢もその内の1人…だが、すぐに唖兎(アト)の傍に駆け寄り唖兎(アト)の肩を揺さぶる
フードの少年は、ニヤリッと効果音がつきそうなくらい妖しく口元に弧を描き、その場から消える
「私は………わったし…は??」
私 ハ 誰 ナノ … ??
―――――
――
「唖兎(アウ)ちゃん…ホントスゴいね〜!」
「そんなコトないよ、だったら可憐ちゃんだってそうでしょ?」
「そう言われてもねぇ……」
一方、唖兎(アウ)は長期課外の帰り途中
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