infinity† 02 何時からだろうか… 唖兎(アウ)が離れてみえる。 「唖兎(アト)? どうした?」 「うぅん、なんでもない」 「ホント?」 今、恢・唖兎(アト)は、学園内に設置されている図書館で勉強会をしていた もとは2人きりでするはずではなかったのだが、他のメンバーは 銀→「今日、部屋にモノが届くんだ。」 灰悸→「ごめぇん、俺、緊急コンパに誘われちまったからまた今度!」 泉→「恢くんと2人きりじゃなきゃ一緒に行かない!(怒)」 唖兎(アウ)→「ごめんなさい、今日は用事があって学園から出るの…だから、また今度…」 という事情で、今日は欠席 そのため今日は恢と唖兎(アト)の2人だけでおこなわれている 「恢くん、ココ教えてほしいんだけど…」 「あぁ、えっとソコはね……」 「唖兎(アト)、ココはさ…コレで合ってる?」 「ぇ? あ…ちょっと惜しいな… ココがちょっとおかしいよ…ホラ図見て……」 こんな感じで地味に進められる勉強会 2人とも教えてほしいトコロだけしか聞かず、静かに着々と進められる 1時間後―。 「終わったーーっ!!」 「お疲れさま、でも恢くんすごいね、自分から勉強するって…」 「そんなコトないよ、ほら、なんて言うんだろ… やるコトないだけで、やってるのかもしれないし…ただたんに勉強しなきゃって脳が動いてるのかもしれないし? でも俺にしてみれば、唖兎(アト)も凄いと思うぜ?」 「そう? ありがとう」 それぞれ道具を片付けながら誉め言葉を言いあい立ち上がる 「今日は付き合ってくれてありがとう」 「うぅん大丈夫、けっこう楽しかったよ?」 「そう? なら良かった」 廊下を歩きながらほっと安心の深呼吸をする恢 その姿を見て、クスッと微笑む唖兎(アト) その瞬間、ズキンッ!と唖兎(アト)の頭に痛みが電流のように走る その大きな痛みに唖兎(アト)は道具を床に落とし、しゃがみこみ頭を抱える 「痛いっ……痛いよっ」 「唖兎(アト)? おい!唖兎(アト)!!」 痛さであまり呼吸が出来ないせいか、唖兎(アト)の額や頬からは徐々に汗が垂れてきた 「っ!! オイ!ソコんアンタ!俺らの荷物を2-Aに持ってってくれ!」 近くに居た女子にそう言うと、自分の荷物も床におき、唖兎(アト)を横抱きにし走った 『唖兎(アウ)!音″ってあげるね!』 アタシが元気よくそう言うと、唖兎(アウ)は嬉しそうに微笑み頷いた そして、アタシは空中にたくさんの音符を浮かせた この時にはもう魔術は使えていた…。 唖兎(アウ)はアタシの能力を受け入れてくれた、だからアタシは唖兎(アウ)にだけに能力を使うコトにした 唖兎(アウ)が喜んでくれるのならば 元気になるのならば 望んでくれるのならば アタシは唖兎(アウ)にだけ魔術を使った そう……唖兎(アウ)にだけ。 [*前へ][次へ#] |