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あおいはる



今、俺は幼なじみのヨリを前になんとも言えない屈辱を味遭わせられていた。

ヨリのにやけている顔に今すぐ飛び付いて殴ってやりたい。
が、一応ヨリも女だ。力を入れていた拳を緩めた。

「いやー、意外だなぁ」
「五月蝿い」
言い返せば言い返す程、溝に嵌まっていくような気がする。

俺は七年来の幼なじみの顔を睨みつける。ほぼ毎日見ているというのに、飽きない自分に驚いた。


呼んでもないのに部屋にいることに、一瞬なにも感じなかった。慣れというのは怖い。
というか、着替え中だったらどうするつもりだったんだ。

それ以前に、ヨリには、男と女という自覚が無いのだろうか。


無意識の内に感じていた幼なじみという言葉が今の俺には重くのしかかっているような気がした。

「その子の名前、教えなさい!」
「嫌だね」
「まー、むかつく性格になりおって」
誰が好きな人なんかお前に教えるか、と俺は勉強机の上に頬杖をつく。

すぐ後ろでヨリの喚き声が聞こえる。



そんなヨリを放って、積んである本を取ろうとしたとき、ヨリの言葉に、危うく本を取り零しそうになった。


「今、なんて?」
「…なにも言ってないよ!阿呆コダマ!」
「言ってた、もう一回言え、今の」
「阿呆コダマ!」
「違う!」

その二つ前、と付け足すとヨリは軽く舌を出して、部屋から出ていった。


「…あいつ、」





あおいはる
(好きな人の名前が聞けなきゃ諦めつかないじゃない!)







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あきゅろす。
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