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Happy Valentine!(仏米)

「そういえば明日はバレンタインデーですね」


あんにお前渡すのだろと言わんばかりの眼。そして菊の言葉に打ちのめされた。




だって、一応アーサーの弟だし。料理なんか自信があるわけない。唯一アップルパイぐらいだ。自信ある料理は。なにより菓子作りはフランシスのほうが上手だ。


前に一度マシューに作って渡したことがあるがすぐにばれてしまった。その時は義理チョコに近い感じだ。お世話になったお礼に、と菊が仕掛けたはずだ。




やはり既製品を買って渡すか。もしくは………。





「あれ、マシュー何しようとしてるんだい」

「去年フランシスさん達にあげたから今年もと思って。当然君も手伝うんだからね」

「えー…」

「どうせ明日の事悩んでるんだろ、ついでだよ」

「君エスパーかい!?」

「………(あれだけ顔に悩んでますって書いてあるのに)」











あれからマシューに教えてもらいながら、いびつではあるがマシなものが出来た。といっても簡単に作れるのではあるが。そしてついでに自信のある菓子を作った。半分は自分で食べたが。ラッピングはシンプルにしてみた。いっぱいつけようとしたらマシューに叱られてしまった。




でもどうやって渡そうか。


改まってしまうと行くのを戸惑ってしまう。マシューは明日学校で渡すらしい。明日マシューのに紛れ込ませてみるか。でもそれも釘を刺されてしまって出来ない。



一応フランシスの家の前までは来た。だがタイミングを迷う。いつもなら迷わず押しかけるというのに。


ああもう!





「フランシス!来たんだぞ!」

「来ると思ってたよ」

「マシューがチョコ作るついでで余ったチョコと俺が作ったアップルパイ!」



これでいいかとフランシスの胸に押し付けるように渡す。



「菊が何か考えてたみたいだったけどこういうことか…」

「どうせフランシスも作ったんだろ。俺にくれないのかい」




甘いにおいが漂っている。おいしそうなにおいだ。



「はいはい、少し待っててね」




フランシスはキッチンへと行った。そういやさっき渡したものもフランシスが持って行ったようだ。きっと皿に移して食べるのだろう。俺がフランシスの作った菓子でフランシスが俺の作ったものを食べる。

菊にけしかけられたが、たまにはこういうのもいいかもしれない。きっと明日学校に行けば菊から質問攻めされるだろうが。そして最後に、






「新刊のネタありがとうございます!」








と笑顔で言われること間違いなしだ。










Happy Valentine!




あきゅろす。
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