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動(伊→日)中

ざわざわと喧しい。一度も発言はしてない。億劫なのだ。勝手に進めて終わってくれればそれが一番よい。ちらちらと視界に入る焦げ茶の髪に怒りが湧く。本当に億劫だ。






会議の最中ずっと日本がおかしい。原因はあっちにあるが自分にもあるだろう。隣にばれないように小さく溜息をつく。この間はああいう事を言ったが、自分の気持ちには変わりはないのだ。きっと日本もそうだろう。日本の踏ん切りがつかなければ自分から言いに行くことはない。





「―――それじゃ……」


今日のホスト国であるイギリスが次の議題を打ち出した。問題は山積みなのだ。個人的私情を持ち込んでは進まない。まだ諦めてはいない。それを言うなんてことはしない。日本はどう考えているのだろうか。

ちらっと黒髪を見遣る。やはり気難しいことを考えているようでその奥を計り知ることが出来ない。自分の心の奥底で何かがうごめいた気がした。






違う。きっと恐れているのだ。自分に対し色々と変わることを。自分が変わることを。これを気に変わる。ということは出来ない。が脈絡と続いて行く中でいつも思うのだ。








「―――…以上で本日の会議を終了………」



なんやかんや考えてる間に会議は終わってしまった。今日と明日の2日間の日程の半分の折り返し地点に到達したのだ。動くなら今か。部屋を見回す。目当ての黒髪はちょうど扉を押し開けているところだった。その後をつけるように行く。自分が動かなければこのままのような気がしたのだ。









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あきゅろす。
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