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キリリクの部屋
35000HIT記念ダリア様リク後編(ウィリー×セツリ)by瑠璃子
「え? あの、その」

「セツリさん、僕と結婚を前提にお付き合いしてくださいませんか?」

僕は本気です、とセツリの目を見ながらグレイズは言い放った。

「あ、あの。私・・・」

セツリの頭は混乱しっぱなしだった。もともとそういう事には経験が皆無なのである。人付き合いぐらいは普通に出来るようにはなったが、いきなり告白などされては頭が追いつかない。昔だったならば一刀両断に断ったはずなのに・・・。
その時、町の方から爆発音が響いた。セツリ達がそちらの方を向くと次々と爆発が起こる。

「な、なんだ。一体何が?」

グレイズが呟いている間にセツリは既に町に向かって走り出していた。



「うしゃっしゃっしゃっしゃ!! 我が名はドクターニシカタ、この世界で最も優れた天☆才科学者であ〜る。只今をもって、この星はこの私の支配下に置かれるのだー!!! うしゃっしゃっしゃっしゃ!!」

「・・・・何、あれ?」

セツリが到着すると、町は大混乱に陥っていた。無数の無人魔導兵器が町を破壊し、空には見るからにイってしまっている男がこれまたイってしまっている台詞を吐きながら、空一面に展開された画面の中で大笑いしている。セツリは少しの間呆気にとられていたが、その間にも魔導兵器によって町は破壊され、人々には被害が広がっていった。

「くっ、とにもかくにも目の前の魔導兵器を破壊する! 行くわよ、ブラックサレナ!!」

《はい、我が主》

セツリの呼びかけに応じ、ブラックサレナはバリアジャケットを展開。自身の姿を鎖鎌へと変形させた。

「はああああああああああ!!」

鎌を振るい、一瞬にして目の前にいた数体の首と胴体を切り離す。魔導兵器達がこちらを向くがセツリは構わず突貫した。
地面を蹴り、前にいた一体に肉薄すると鎌の根本を持ち下から一気に切り上げる。その隙に後ろから迫ってきた奴の足に後ろに残しておいた分銅部分を巻き付け転ばし、そのままジャイアントスイングの要領でぶんまわす。周りを囲んでいた奴らも巻き込み一気に5体以上を吹き飛ばした。しかし、まだまだ休むわけにはいかない。敵の数はまだまだ膨大である。

「さあ、休まずいくわよ!!」



その頃、地上の進行状況を眺めていたドクターニシカタも異変に気が付いた。一部の都市での進行が遅れているのだ。確認すると一人の魔導師が邪魔をしているようだった。

「ふむ、よもやこんな所に我の計画の妨げになるような人材が隠れていたとは。さすがは時空管理局であ〜る・・・。 だが、その程度の戦力では我の魔導兵器軍団は止められぬ!!」

そう呟くと地上への回線を開いた。



「だ〜はっはっは! 奮戦ご苦労、時空管理局の魔導師よ!」

セツリが上を見上げるとまた空にドクターニシカタのドアップが映っていた。

「だが君のその努力も我が軍団の前では水泡に帰すことになるのであ〜る!! 周りを見よ!!」

「なに!?」

セツリが振り向くと、そこには今まで倒した魔導兵器の残骸があった。すると、その残骸がいきなり動き出し、また元の兵器群に再生してしまった。

「うはーっははは! これこそ我れが発見したロストロギアを復元、改良して発明した超☆兵器、名付けてスパルタンZZ!!!!! さあ、その倒れども倒れども向かってくる無敵の軍団に、君はどうやって対抗するきかな〜?」

「チッ」

セツリは再生した奴らに向かって鎌を振るう。奴らはまた破壊されるが直ぐに再生してゆく。その間にも後ろや両側からも敵は迫ってくる。

「無〜駄無駄無駄無駄!!! いくら破壊されようと我がスパルタンZZは直ぐ立ち上がる〜!! さあ、さあ、さあさあさあさあ!!」

確かにこれでは幾ら倒してもきりがない、しかし今ので一つ確信が生まれる。その時、セツリに通信が入った。

《大丈夫ですか、セツリさん!? 今そちらに援軍を送ります! ですからもう少しだけ頑張ってください!》

通信は基地からだった。グレイズはあの後基地へ先に帰ったのだろう。なるほどあの状況ではいい判断だ。だが、今の判断はいけない。

「そんなことより、暴れている魔導兵器の正体が分かりました。元はロストロギアの改良品です。奴らは破壊しても直ぐ再生します! これだけの数、ドクターニシカタの話が本当なら全世界に展開しているはず! 援軍よりも先に魔導兵器を操っているであろうあのキチガイを確保してください!!」

《そ、そんな! 貴方だって放っては置けません!》

「全世界の人々とどちらが大切なのですか!? そんなことより、一刻も早くあの」

その時基地の方面から轟音が鳴り響き、空に向かって一筋の光が走った。

《な、なんだ! 一体何があった!?》

「ん? なんであるか?」

皆が慌てて空を見上げる中、只一人セツリだけがその状況を理解していた。こんな状況下であんなことをするのは、一人しかいない。

「あの、ばか」

そう呟くと近づいてきた一体を難なく撃破する。その顔には笑みがこぼれていた。

「さ〜てと、これで心おきなく」

そんな中またセツリに通信が入る。それはとても慌てた声だった。







ドクターニシカタは地上との通信を切り、状況を確認していた。あの基地から打ち上げられた光。まさかとは思ったが確認するに越したことはない。

「ばかな、まさかこの場所がばれたのであるか? いや、もしばれていたとしてもあんな基地にここまで、この成層圏に浮かぶ我が居城に攻撃できるものなど」

その時、基地の通信にいきなり割り込みが入った

「何が居城だこのキチガイ野郎」

「な! いっ一体何処から」

急いで経路を調べる。すると先ほど発射されたあの光からであった。その時その光の針路の計算も終了する。その光は真っ直ぐにこの城を目指していた。

「な、何故、何故ばれたのであるか!! 我が此処にいることを!?」

「昔から言うだろうが」

向かってきた光が速度を緩める。中から現れたのは、なんと一人の魔導師だった。その魔導師、ウィリーは両手に二つのロケットのようなデバイスを担ぎこちらに接近してくる。それをモニターで確認したニシカタは信じられなかった。まさか、生身の人間がここまでやってくるなんて。幾らニシカタの頭脳でも予測してはいなかった。そして数十メートル下に来るとブースターなどの余分なパーツをパージしてゆく。そしてパージし終えるとすぐさまドラグノフをドッキングさせた。

《《チェンジ、デストロイ! いつでもいいぜ相棒!!》》

「馬鹿と何とかは高い所が好きってな!」

ドッキングしたドラグノフをニシカタの言う城に向ける。元々デバイスに溜めてあった魔力を会わせることで収束魔法の弱点である収束時間は三分の一以下、コアも二つあるので展開速度も倍以上である。ウィリーの前には瞬く間に巨大な魔力の球が発生した。

「スターエンド、ブレイカー!!!」

ウィリーの叫びと共にその特大の魔力球が発射される。ドクターニシカタは最後に上げたであろう悲鳴さえもその光に飲み込まれた。




セツリは空を真っ直ぐに登ってゆく。さっきもっと上空で光りが見えた。きっとウィリーが奥の手を使ったのだろう・・・。 あのとき慌てて入ってきた通信はウィリーと一緒にいた研究員からだった。

(ウィリーさん、町やセツリさんの様子通信で聞くといきなり準備しろって! そのあとすぐに観測室に入って、敵の本拠地が分かった、すぐに行って潰してくるってそのままあの試作品で飛んでちゃったんですよ!!)

「まったく、あのばか!!」

(セツリさん、何とかしてください!! あのブースター上昇するのは問題無いかと思うんですけど、帰りの装備は何にも付いて無いんですよ!!)

「まったく最後まで世話の焼ける」

あの男はいつもそうだ、とセツリは登りながら考えていた。何時だって周りのことはほったらかして自分だけで突っ込んでゆく。後始末や細々したことは全て自分に押しつけて!

(でも・・・)

そんな彼だからこそ今までやってこられたのかもしれない。戦闘でも何時も自分のして欲しいことを彼は何も言わずに実行してくれた。それが私ためではなく、只自分がしたかっただけの行為だとしても。彼は唯一人、自分が安心して背中を預けられる存在だった。これ以上求めるのは少し贅沢すぎるのかもしれない。そう思いながら、はるか上空から降ってくる恋人を受け止める為にセツリはブラックサレナの鎖鎌をネット状に展開した。


その後、魔力が切れ落ちてきたウィリーをセツリは何とか無事にキャッチすることに成功した。そのまま基地まで下降し、ウィリーを医療班に預け自分は事後処理に奔走した。ウィリーがドクターニシカタの基地を破壊した直後、世界中で活動していた魔導兵器は全て停止したらしい。破壊があった都市などでは早速復興の準備が始まっている。ドクターニシカタの行方は未だに不明。まあ、あのブレイカーに巻き込まれたのならすぐに復活することは無いだろう。あのドクターがどのようにしてロストロギアを手に入れ、また何処で復元・改良したのかは目下調査中である。

「ま、ひとまずこれでよしと」

自分のデスクで報告書づくりをしていたセツリは一息入れるためにコーヒーを口に含む。


自分が基地に降りてきたとき、真っ先に出迎えたのはグレイズだった。だがセツリはその横を素通りし、抱いていたウィリーを医療班に渡しに行った。

「セツリさん!!」

渡し終えたあとのセツリの背にグレイズの声が掛かる。がセツリはそのまま返事もせずに行ってしまった。
その場にはグレイズだけがとり残された。


(後で、ちゃんと返事しに行った方がいいよね)

そう考えながらセツリはコーヒーを飲み終えると自分の部屋に戻ることにした。
部屋に戻ると中から気配がする。まさかと思って中に入ると、やはりそこにはウィリーがいた。

「ちょ、ウィリー、貴方、一体何を」

「おう、おかえりセツリ」

「ああ、ただいま、ってそうじゃない!」

「なんか食うか? どうせなんも食ってねーんだろ」

「ええ、お願い・・・じゃなくて! なんで貴方が此処にいるのよ!? 病室は!!」

「抜け出してきた」

「な! 貴方、今日自分がどうなったか分かっているの!?」

「だーもー、体事態に問題は無いし、様子見で寝ているだけなら何処にいたって同じだろーが。それに」

「何よ!」

ウィリーが時計を見上げる。セツリも目で追った時、針はちょうど12時を指した。

「こいつは、十二時ちょうどに渡さなきゃ意味がない」

そういってウィリーは机においてあった小箱をセツリに渡す。開けてみなと言われ、セツリが開けるとそこにはブレスレットが一つ入っていた。

「え? これ」

「前に町で見て欲しがってたろ。プレゼントだ。俺達が恋人になった日記念のな」

「!!!」

セツリは今聞いた言葉が信じられなかった。ウィリーは覚えていたのだ。去年の今日、いやもう昨日だが、は自分達が恋人として付き合うこととなった日だと。だが、セツリには一つ引っ掛かる事があった。

「だけどこれ何時用意したの?」

「え? お前が欲しがってた次の日に」

「はあ!? だって貴方、今日の朝私が聞いたら全然忘れてたじゃない!」

「あれだけ気合いの入った告白だったんだ。祝うなら時間まで合わせなきゃ失礼ってもんだ」

そう言うとウィリーは笑いながら奥に行った。セツリはしばらく固まっていたが顔に笑みを浮かべると直ぐに後を追って行った。


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