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キリリクの部屋
7777Hit記念D-1さんリク第一話by大小
まず最初に、
このお話はD-1さんのサイト『回転レーザーソード』の主人公、唐沢刃とはやてのSSです。
またこのお話を読む前にD-1さんのサイトの小説を読むことを『強く』オススメします。
ちなみに私、大小の本編及び、D-1さんの本編とはまったく関係ありません。
どこか似ていたとしても嘘っぱちです。
知ったこっちゃありません。
では至らぬ腕ですが、楽しんでいってくださいm(_ _)m







「失礼します、局長さん今回の報告書で……あれ?」

はやてはいつもの通り6課責任者として報告書を提出に来たのだが、執務室に本局長はいなかった。

「おかしいなぁ、なんや急な会議でもあったんか?」

確かいつもなら、この時間帯はここにいるはずなのに。
珍しい事態である。

「ふぇっふぇっふぇっその問いにお答えしよう!!」

「だ、誰や!?」

サッと後ろを向き身構えるはやて、

だが

「うぉ〜い上じゃ、上」

「上? ぃ!?」

上を見上げると、
居た、否、張り付いていたのは、はやてとも顔見知りの老人シャルデンツ・ハラオウンのおじいちゃんだった。

「お、おじいちゃん……何やってはるんですか?」

「一人スパ〇ダーマンごっこじゃよ」

「……暇そうで羨ましいです」

「いやわりかし忙しい」

「そないなんですか」

「うんそうじゃ、そういえば局長だったのぉ」

「はい、早くコレ渡して次の業務に移りたいんですけど」

「あやつなら近隣の同盟国の偉いさんにどやされとったぞ?」

「あっちゃ〜長引きそうですね」

「まぁ1、2時間ってところじゃろうよ。ところではやて君」

「何です?」

真剣に語りかけてきたハラオウンおじいちゃんはこう言った。

「降ろすの手伝って(泣)」

「アンタ阿呆やろ」





「ただいまやぁ〜」

間延びした独特のニュアンスの関西弁が、時空管理局本局内6課室に響き渡る。
出すはずだった書類をハラオウンのおじいちゃんが、預かってくれると言ってくれたので、ご厚意に甘えることにした。
彼もまた局長に用があったらしく、用ついでに渡してくれるとのことだ。
正直有り難かった。
本当は仕事とは言え彼の、刃君の側から一秒たりとも離れたくなかったから。
だからはやては帰還したら、まずは刃に抱き付くつもりだった。
そう、つもりだった。

「えっ?」

いない。
彼女にとって最も大切な人が。
ついさっきはやてが局長に書類を提出に行った時は、ここに居た筈なのに。
ついでに言うと6課のメンバーがほとんどいない。
一人フェイトが「しまった! 逃げそびれた!!」という表情で固ったいたが。

「ふ、フェイトちゃん! 刃君どこに行ったか知らん!?」

若干いつもと声の調子が異なる。
なんだかそわそわしているというか、焦ってるというか。

「はやて落ち着きなよ」

長年の親友であり、彼女の補佐官の一人のフェイト・T・ハラオウン執務官が、なんだか諦めた表情ではやてを窘める。
だがはやて本人はそれどころではない。

「ど、どどどどないしよ! 私居らん間に他の娘に刃君奪ってったちゃうか!? いやきっとそうや!! どごぞの馬の骨とも分からん女が、刃君を誑かして私との仲
を目茶苦茶に……むっきぃーー」

蒼天の王は今日も元気にラリってるようだ。
フェイトはため息をつきながらフォローに回った。
いつの間にやら、壊れているはやてを直すのは自分の役目になっていた、というか定着していた。
イジメだ。
コレは陰湿なイジメだ。
厄介事を押し付けて逃げて行った親友と部下を思い出し、半ギレ気味のフェイトである。
仕方ない、嫌々だが修理しよう。
こういう時は、まったく役に立たない白い悪魔……もといこの場にいない(逃走済
み)もう一人の親友を恨みながら、フェイトは女の嫉妬に燃えたぎっている上官の修理に取り掛かった。

「はやて、はやてにとって刃さんはそんなに信用のない人なの?」

「そんなことあれへん!! ただ……」

「ただ?」

「刃君めっちゃカッコいいやろ? 女の子やったら一目見ただけで惚れそうやん♪」

はやてはさも嬉しそうに、クネクネしながら言った。
チクショウ惚気やがった!
惚気やがった!!
こっちは大好きな義兄が結婚した、というショックからまだ立ち直ってないのに!!!
顔がヤバい時期の実母プレシアの様になっているフェイトを前にしても、はやての暴走は止らない。
いや加速する一方である。

「あ、ああああかん! 早ぉ助けださな刃君に、主にお尻に魔の手が!?」

どうやらはやての妄想の中では刃は貞操(?)の危機らしい。
ものっすっごくピンポイントな危機である。
そんな状況の中で、

「失礼しま〜す、フェイ、おっと失礼……ハラオウン執務官に頼まれていた資料
ですけど……?」

空気が読めない、いわゆる今流行の『KY』なユーノが6課に入ってきた。
この状況で。
このタイミングで。
なんとも間の悪い男である。

「ユ・ウ・ノ・く・ん?」

「は、はい?」

やたらテンションの高いはやてと、顔が般若の様になっているフェイトを目の当たりにして、ようやく彼にも危機感が出て来た。
尤も生命の危機クラスでようやく反応という、かなり鈍い危機察知感覚だが。

「丁度ええとこに来てくれたわ」

「は、はぁ……」

「ちょっとな人探してるんよ。探索魔法使ってくれへん?」

そういうとはやてはユーノの両肩に手を置いた。
傍目から見たらとってもフレンドリーな光景だ。
はやての指がユーノの肩にめり込んでいなければ。

「いぃいっ!? い、痛いよはやて!?」

「痛い〜? なぁ〜に言ってんのユーノく〜ん!
友達の私がユーノ君イジメる筈ないやん☆」

どうやら蒼天の王にとってお友達とは、利用出来る(パシれる)人材のことらしい


「分かった! 分かったから、手をどけて!! 本当に痛いんだって!!!」

「失礼やなぁ、花の乙女をなんや怪物みたいに」

やや憤慨そうだが、結果的に上手くいったので満足そうなはやてである。
勿論ユーノは

(今のはやてならジャイ〇ントで馬〇さんな人をアイアンクローだけで倒せるに違いない)

なんて思っていない。
ええこれっぽっちも思っていない。

「ねぇはやて」

「なにぃ?」

「局内で模擬戦とか職務以外の使用は禁止されてるよ」

されてるよね? と言おうとしたが、ユーノには言えなかった。
何故か?
答えは簡単だ。
はやてが天使の様な笑みでこう言ったからだ。

「いいからやれ」

と。





管理局の中には幾つか娯楽施設がある。
中でも中央に位置する公園は、緑が多く空気が澄んでいることから利用する人は老若男女多い。
その公園の中でも特に大きな樹木に刃は背を預けて座っていた。
目を瞑ってお腹いっぱい空気を吸い込む。
新鮮な空気はそれだけで人を元気にする。
さっきまでいた場所に比べたら、ここは天国と言えるほど空気が澄んでいる。
刃にとってここはお気に入りの場所の一つだ。
人工物ばかりの管理局内部で唯一自然が堪能でき、作り物とはいえ太陽の恩恵を受け取ることが出来るからだ。
尤もそういう理屈抜きで、誰にも邪魔されず昼寝出来るというのも大きな理由だ
ったりするが。

「……のどかなものだな」

普段の管理局と同じところだとは、到底思えない。
それほどこの場所は人々の心を穏やかにさせている。
今この公園の設定は初夏。
程よい暖かな気温と快い日差しが、気持ち良い。
確か……10年前、初めて彼女に会った時もこんな季節だった……
懐かしいものだ。
あの時偶数出会った少女が成長し、自分の人生の伴侶になるとは思いもしなかった。
そんなことを回想しながら刃の意識は、夢の世界に旅立った。
……意識が旅立つ寸前、絞め殺されたフェレットの様な生き物の断末魔の叫びみ
たいのが聞えたが、無視した刃だった。


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あきゅろす。
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