遊び感覚

※若干R16くらい?のゼロロイ。

俺達、相性バッチリなのよ♪性格的にも、身体的にも。

とゼロスが、嬉しそうに言うものだから、馬鹿かと一言返せば、でも、本当のことだから仕方ないとゼロスが口を尖らせて反論する。…ああ、なんでこうなったんだろう、そればかりがロイドの頭の中で木霊していた。





よくあることだった。
…健全な男子、それも思春期まっさかりな17の男の子が一人隠れてすることと言ったら一つ。
ロイドだって、確かにそういう面に関してはかなり疎いかもしれないが立派な男の子である。

それはゼロスと同室になった時のことだった。
大体男性陣は部屋割りをジャンケンかその日の気分によって決めるのだが、決まってゼロスの同室になると、彼は毎晩夜遊びに出かけるので返ってこないことをロイドは知っていた。
だからゼロスが出かけた後、鍵を掛けて……までは良かったのだが、迂闊にもゼロスが早く帰って来てしまったのだ。
毎回朝方まで帰って来ないこともあって、匂いとかそういうものはゼロスが帰ってくる前に喚起出来たし、ティッシュとかそういうものも、ちゃんと証拠を残すことなく塵に出来たのだが。

「あれ?」

やばい、とロイドは即座に思った。
布団を大きく被って、潜り込んでいるから多分バレないだろうとは思うが、それでも非常に緊張していた。
お子様なロイドと違って経験豊富なゼロスのことだ、きっとこの『匂い』もすぐにバレてしまうのではないか、と。

…案の定、翌日の朝にバレてしまった。
勿論、違うと言い張ったがゼロスは証拠隠しに使ったモノとか、匂いのことをピンポイントで攻め立てられてロイドは嫌々ながらもそうです、と答えてしまったのだ。…さながら犯人を追い詰める探偵のように。
何故ゼロスに判ったのかと聞けば自分も同様だからと答え、笑いながら、それは人間として、男として断じておかしくないとフォローまでしてくれたが、ロイドにとっては人生で1番2番を争うほど、物凄く恥ずかしいことだった。

そして、再びゼロスと同室になった時のこと。
いつもなら毎晩夜遊びに出かけるゼロスがいつまで経っても出ないものだから、不思議に思って声を掛けると、「ハニーがするのを見たいから」とふざけた答えが返ってきたのだ。
流石にバレてしまった後に続けるつもりはなかったし、それに何で好きで誰かに見られながらそういうことしなきゃいけないんだろうと口には出さなかったものの、ロイドは内心思っていた。

「でもこのままだとハニー苦しいんじゃないの?」
「うるさい!そんな気分じゃないし!俺は寝るの、オヤスミ!」
「あーあー、もう素直じゃないコは嫌われるぜ?」
「ゼロスには好かれたくねーよ」
「ふーん…」

からかうつもりでゼロスがロイドの上に跨って、布団を剥がそうとした瞬間、ロイドがいつも着用していたタンクトップまで捲れてしまう。布団が、ロイドの頭の上に覆いかぶさり、オマケにタンクトップが両腕をバンザイさせたままの格好で絡んでいるのを目の前にしたゼロスは、一瞬生唾ごくりと飲んでしまった。

「へぇ…」

野郎のものなんて誰が、と思っていた自分だが迂闊にも、そそられてしまった。
あれだけ雄々しく最前線で戦うロイドのことだから、もっと身体もそれなりのものだと思っていたのだが…思った以上に、か弱くそして細い。
しかも無駄に白いその肌が余計にその気にさせた。

もし胸があったら多分、少し痩せた女の子と言っても多分判らないだろう。
しかし、逆によくこんなので戦うなあとゼロスは感心した。
確かにコイツの父親の事を考える(あんまり考えたくなかったけれど)と、身体的にもかなり父親似なのかもしれない…性格を除いては。

「っ、あ、ゼロスやめろって!」
「まあまあ、絶対ロイドくんに損させないから」
「だぁああっ、ばか、やろ…!」
「俺サマ、こう見えてもテクニシャンだから」
「うあああああ…!」




…そして、今に至る訳である。
こんなこと良くある、とゼロスに聞かされたロイドはそうなのか、と信じてしまい、彼の前では恥ずかしくならなくなったものの
オープンにこのことを口に出されるとやっぱり恥ずかしい気持ちでいた。
ロイドからすれば、ゼロスは自分のことなんてお遊び感覚でからかっているのだろうなと思ってはいたが、
どうも最近はそのお遊びの度を超えてきたような気がする。


最初は、ただ慰めてもらうだけだった日々が、段々とエスカレートしていき、自分から口淫をするようにもなったロイド。
今では身体を重ね、やることはやっているし、お遊び感覚だと判っていたから少しふざけていたりもした。
でも、…何だかこれじゃまるで、普通の恋人同士がやってることみたいだと、気づいた瞬間。

「ロイドくん」
「ゼロス?」
「俺サマ、割と本気だから」

心の中の声が聞かれたかのように、ゼロスがさらりと口に出して言う。

ああ、もしかしてもしかしなくとも。
…遊び感覚だったのは、自分の方だったんだ、とロイドは自嘲した。


***
実は真剣にゼロスの方がロイドに恋してて、ロイドがそれを遊びだと思ってたパターン。


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