寝違えた。 …まずいことに首が曲がらない。そう気付いたのは起きてからだった。 今日はいつも使う宿とは違う所をとってしまったせいか、固い枕にギャーギャー文句を言いながら就寝して。 起きた瞬間、欠伸をしようと思いっきり顔を上げた瞬間、叫び声が宿屋に響いた。 たかが寝違えただけだというが、戦闘に於いて寝違えた、ということはかなりの大ダメージになる。 何しろ視界が制限される。いや制限されるどころの話じゃない。首が動かないのだから、それどころじゃない。 というよりは既に動くたびに激痛が走る。其れほどまでにロイドの寝違いはとても強烈だった。 「痛い…」 首を痛くない方向に傾けながらロイドは泣きそうな声で嘆いた。 魔物からやられた傷ならば、多少は回復魔法で治癒できるがこういうことは回復魔法ですら治せない。 リフィルにリカバーで治してくれと、せがむロイドだったが無理だと即答で返されてしまった。 不謹慎ではあるが、まだ魔物にやられて痛い方が気が楽だとロイドは心の中で思った。 いつ治るか判らないし、それに移動の多い旅であるからこんな寝違えただけで安静にすることも出来ない。 だがロイドはパーティ内の主戦力であったし、安静することも考えたが結局、ロイドは戦闘には参加しない方向で決まった。 という事で、回復魔法もつかえないロイドは必然的に皆のアイテム補給係兼荷物もちになってしまう。 「もうヤダ…首痛いし…」 本当にイヤだ。 こんな痛みまだ続くのかと思うとげんなりする。 ブツブツと文句を垂れていると、クラトスが手に持っていた荷物を持ち上げた。 「ラッキー♪」 と調子にのって、手を上げた瞬間。 癖で同時に顔をあげてしまい、激痛がロイドの首を襲った。 「っ…てぇぇええええぇぇぇぇぇぇええええ!!!!!」 何事かとパーティ全員がロイドの方を見たが、誰もが、ああ寝違いか、と軽くスルーしてさっさと先に行ってしまう。 皆にとっては只の寝違いかもしれないが、ロイドにとっては大事なのだ。 「調子に乗るからだ」 「うう…ごめん…」 *** 単に今の自分の現状。本当に痛いんです。 只の寝違いと思ったら大間違いなので、気になる方は診断しましょう^^; [次へ#] |