※TOS/クラトス+プレセア ふと、食堂で珍しい顔ぶれが二人、揃った。 一人は、ピンク色のツーテールをした、あどけない12歳の少女。 もう一人は、鋭く厳しい眼光をした20代後半の傭兵。 その二人が同じテーブルに着き、食事をしている。 事情を知らない者が傍から見れば、何事かともう一度振り返ってしまうだろうそのアンバランスさと言ったらこの上ない。 娘、という年齢でもない子供と、親という感じの…寧ろ生活感の無い青(?)年。 「…クラトスさんも、今、食事ですか」 「ああ…」 時刻は既にとっくに朝とは言いがたい時間になっていた。 お互い、その理由も聞かず、低血圧なのだろうなと勝手に納得する。 「今日の食事、美味しいですね」 「ああ。…産地から取れたてで新鮮なものを使っている、と先程耳にしたが…」 「そうなんですね」 ロイドたちに比べて随分の抑揚の無い会話にも思えるが、二人にとってはこれが落ち着けるくらいだった。 寧ろ、賑やかな会話が苦手な二人のことである。 クラトスはともかく、プレセアのような子供からすれば、そんな大人びた会話はどうかと思えるかもしれないが、 実質、プレセアの事情からすれば年相応だと思うだろう。そんな事情を知っているのはごく僅かだが。 「…あの、」 「何だ?」 「思ったんですが」 「…ああ」 「私たち、…世間的に言われる…タメ、というもの、なんですね」 「タメ…?」 「ロイドさんたちに聞きました。同年齢の事を言うそうです」 プレセアのその“タメ”という言葉にクラトスは一瞬、何の事か判らず、口にしようとしていたフォークを止めて唖然としていた。 だが、直ぐにそのタメという言葉の意味を理解したクラトスは、そうだなと苦笑して返した。 肉体的に28歳で止まっている自分と、 精神的に28歳の目の前の少女。 …何とも可笑しな“タメ”であると思う。 外見からは似ても似つかわしくない28という数字がこの二人にはあるのだから。 だからこそ、こうして落ち着いて話を出来る環境を二人は居合わせているのだなともさえ思える。 「…私がもし、ちゃんとした28になったら、…どうなるのでしょうか」 「年相応になるのではないか?」 「そうですね……外見は、です…」 自分にはあまり実感のわかない、肉体の老い。 それを答えるのには、自分ではあまりにも知識不足だとクラトスは思った。 老いを感じない身体になって数千年。そのもの自体何かを忘れかけようとしている自分には。 「でも内心的には、…その、私もクラトスさんみたいに」 プレセアは、あまり見せることの無い笑みを浮かべながら、静かに言った。 私も、子供を思うような親心を持つことができるのでしょうか、と。 いつからだろうか。 自分が感情を失ったという年齢のラインが判らない自分ではあるが、それまでは確かに、妹であるアリシアの、父の世話をしてきた。 それは子供ではなくとも人を思う心、愛情が確かにそこにはあった。 でも、感情という情を忘れかけてしまった自分にもう一度そのような心を取り戻すことが出来るのだろうか、プレセアは不安で仕方なかったのだ。 相談をしようにも、相談の仕方がわからない。 誰にすれば良いのかわからない。きっとメンバー内には無理だろうと思った。 一番気軽に話せるのは現時点ではリーガルだったが、彼のことだからアリシアのこともあって余計な心配をかけてしまうだろう。 …そこで出会ったのがクラトスだ。 不思議な縁を持つ二人。…そして自分と似たようで、似ていない似たもの同士。 けれど確かに違ったのは、自分を救ってくれたロイドの事を想う心、そして自分を見失わない信念さを持ち合わせていること。 プレセアにはとても興味深かった。 自分を犠牲にすることなど、全てを尊敬する訳ではないけれど。 もしも自分が本当の28になれたとき、彼のような存在になりたいとプレセアは思った。 「…ロイドを、…いや、皆を想う気持ちがあれば自然と沸いてくるものだ」 そんなプレセアに、クラトスはそうと一言だけ、答えた。 「そうなんですね、あの、今日はこんな話に付き合ってくださって、…ありがとうございます」 「いや、構わぬ」 ……不思議な数字で縛られた、二人の邂逅は、まだ始まったばかりである。 *** 意外にこの2人の組み合わせが好きです。 あくまでクラトス+プレセア=ロイドの父母的存在! …っても母はリフィルじゃね?って思うかもしれませんが、リフィルは姉というか先生のポジかなーとか(笑) 感情を失って、取り戻した頃のプレセアのぎこちなさが、 クラトスにとっては何と無く、牧場を脱出した際、エクスフィアの侵食されかけている アンナさんと似ていてればいいな〜とか思いました。だから放置っておけない! そんでプレセアはたまに、ロイドに恋心というか母心的なものを感じでればいいなとか…妄想です^q^ [*前へ][次へ#] |