「あのさ、何でハニーのお義父さまは脇出してるわけ?」 「え?」 再びこの様な質問の切り出し方に、ロイドはまたか…と呆れた顔でゼロスに言い返した。 そんなの知るか、と。 「ちょっと気になったんだよな」 ゼロスは寛ぎながらテセアラで発行している雑誌を捲りながらロイドに声をかけた。 と言うのもたまたま目に入った男性の服装についての特集を見てのことだった。 「そんなのゼロスだって、脇出てるじゃんか」 「でひゃひゃひゃ………。…そりゃ、お前!ファッションだよファッション!」 「そうか〜…?」 まあ…確かに軽装であって、何処と無く出のよさそうと想像できる彼の個性を現わした服でもあるし、 それでもって戦闘にも支障の無いゼロスの服装。 何も考えてないようで実はしっかり考えているゼロスだから、迂闊にもロイドはゼロスの服装にとやかく言うことが出来なかった。 それに自分はファッションとかそういうのには疎いことも自覚しているし、揚げ足を取られて惨めな思いになるのは自分だと判りきっていたのである。 「…戦闘で何か良いことでもあるんじゃないのか?」 「あの天使サマが脇を出すメリット?」 ゼロスとロイドは、頭の中で戦闘を行うクラトスの姿を再生する。 が、どうしても思い浮かばない。…脇を使う技なんてあっただろうか。 確かに腕を思いっきり伸ばしたり上げたりはすると思うが、そこまで脇をあける必要はないように思えた。 (それならな双剣で動きの激しいロイドの方があけた方がいいのでは、と逆に思うくらい) …それどころか。 「…てか、クラトスって寒いのか暑いのか、わっかんねーよな。脇でてるし、何か小窓2つ空いてるし、それなのにマントだし」 まあ、それを言ったら俺サマも同じようなもんだな…とゼロスは苦笑いする。 何せ、脇出しの腕隠しの点では同じである。それこそ、自分はファッションだと言い切ればいいかもしれないが、クラトスの場合はわからない。 …そもそもクラトスという人間?天使にファッションという概念はあるのだろうか。 まあファッションなど気にしなくても、ある程度端正な顔立ちとそこそこの容姿をしているから、問題ないだろうなとは思うが。 「でも、ほら、クルシスに居たときは何か窮屈そうな服着てたよな…ほら、なんだっけ、白い…」 ロイドの記憶力に呆れる一方で、それでも解ってしまう自分に何となく自嘲しながら、ゼロスはクラトスがもう一着着ている方の服を思い出した。 何せ、クルシスと通じクラトスと話していたときは、いつもあの服を着ていたから、どちらかと言えばそちらの方が印象に残っていたのである。 「ベルトばっかのアレ…?」 「そうそう。俺、あれはちょっと格好いいなーって思ってんだよな」 「でもベルトって拘束具だぜ?…てことは、もしかしてハニーのお義父さまってそっちの趣味も…」 「ばっ、バカ言うなよな!クラトスはそんな趣味ないって!」 「ひゃひゃひゃひゃ…どうかねぇ…?」 まあ、多分縛られるのが好きなんじゃなくて、お前を縛りたいって思ってるだろうなとはゼロスは敢えて言わなかった。 「俺も脇だしてみようかな。涼しそうだし」 「……ロイドくん、それはやめとけ」 「え、何でだよ」 「おまっ、脇なんか出したら、お前…!剣を振り上げた時にチラリと服と脇の間から見える胸とか、チラッと見える素肌とか…皆ムラムラってくるだろ!?」 「………」 ゼロスは言った後であ、としまったというような顔で口を押さえた。 思わず、脇出しのロイドを考え、興奮してついつい口に出してしまった言葉だが(多分正論だと言う自信はある) 怒リ出すであろうロイドの表情はその言葉に唖然として、暫くしてから「もしかして…」とだけ、返ってきた。 「ま、まさか…クラトスってあれで、誘惑とか…してんのかな。だからアイツあんなにモテ……」 「い、いや、そりゃ…な「お前もあんまり認めたくないけど、モテるもんな…」 脇出してるし、とロイドは添えた。しかも真剣なまなざしで。 いや、それは神子だから…とゼロスが大真面目に答えようと思った矢先、ロイドは少し悔しそうな顔で拳を握り締めた。 「畜生、…俺、親父の所に行ってくる!!」 「ちょ、ハニー!待っ…」 そんな急いでレアバードを飛ばし、小さくなっていくロイドの後姿を見つめながらゼロスは思った。 …………出来ることなら、脇だけじゃなくて全部出してこい!と。 暫くして、久々にイセリアに帰って来たロイドを目の前にして、クラトスは思わず悲鳴に近い声をあげたらしく、 後で事情を聞いたクラトスは暫くジャッジメント服で過ごしたらしい。 *** 世界の謎シリーズ第2弾。 父さんの脇話。 ロイドは親父にあの赤い服を改造してもらって脇出しにしてもらいました(笑)<クラトスの悲鳴 そして何故ジャッジ服にしたのかというと… そして父さんに率直に聞いてみるロイド。 「なんで父さんは脇をだしてるんだ?」 「………」←返答に困る父 「ゼロスとお揃いだな…脇(ボソ」 「………!(服変えよう…)」←あからさまに嫌な顔 こう見えてもうちの魔剣士ズは犬猿の仲であって、実はすごく信頼して…ます!(笑 [*前へ][次へ#] |